くらし 声をカタチに 声を未来に 藤井浩人市長コラム

■「流れゆく時間を、選び取る」
私は毎日、朝ごはんを作り、子どもたちを保育園に送ることを日課としています。仕事と家庭で慌ただしい時間ではありますが、今しかできない、かけがえのないひとときだと信じて噛み締めています。
私たちの地域は、都市部のように交通網が密ではなく、自家用車が便利に感じられます。一方で、免許や車を持たない子どもや高齢者にとっては、家族やご近所の協力なしでは移動が難しい現実もあります。送迎する側も移動に費やす時間は、仕事や家事に充てたい「可処分時間」の損失と感じることもあるでしょう。私が塾の講師をしていた頃も、保護者が送迎や待ち時間に苦労されている姿をよく目にしました。
こうした中、市では、利用者の希望に応じてルートを柔軟に調整する「チョイソコみのかも」が始まりました。乗り合いで効率よく目的地に向かえるこの仕組みは、外出のきっかけをつくり、人との交流や健康増進も目的としています。移動エリアが限定されていることに不便を感じるかもしれませんが、逆にそのエリア内で目的を達成する発想の転換や新たな店舗・サービスが生まれるきっかけにもなるかもしれません。私たちにとって貴重な時間を、いかにかけがえのないことに生かすのか。その目的や、それぞれのご都合にあった移動手段の選択肢が増えることで、暮らしの豊かさも広がっていくと信じています。