- 発行日 :
- 自治体名 : 岐阜県岐南町
- 広報紙名 : 広報ぎなん 令和8年2月号
◆学ぶ心に火をつける
羽島郡二町教育委員会 教育長 野原弘康
現在、多くの学校で、地域の方のご協力のもと、キャリア教育や「社会や生活とつながる学び」となる講座(特別授業)が行われています。ある学校を参観したとき、光製作所の方による講座が行われていました。子どもたちが宇宙への関心を抱くことを願った「ペットボトルロケット」作りの講座でした。その時です。私の目に飛び込んできたのは、宙に浮き自転する地球儀でした。
導線もなく風圧も受けない物体が宙に浮いて回転している現象に、強く興味をひかれました。きっと磁石や電磁誘導の原理が使われているのだろうと推測しましたが、具体的な仕組みを知りたくなりました。
帰宅後、早速インターネットで調べましたが、商品の紹介はあるものの、その仕組みを説明した情報は見つかりませんでした。しかし、よく似た現象で、宙に浮いて回るコマ(レビトロン)を見付けました。装置を見ると、100円均一のショップで揃えられるネオジウム磁石とCDケースからなり、これなら自作できると思い、材料をそろえて、解説をもとに台座とコマを作りました。
完成後、早速コマを回してみましたが、まず、コマが回りません。台座の上に木片やプラスチックのカップを置き、調整した結果、やっと磁場の中でコマを回すことができました。しかし、次にコマを持ち上げると、浮かなかったり、突然前後左右に飛び出したりするなど、苦難の連続でした。願いと悔しさが入り混じった童心のように試行錯誤に没頭した結果、宙に浮き回転した状態を保つことができ、大きな感動を味わいました。
数年前に放映されたTVドラマ「下町ロケット」で佃社長が発した名言「いい年したおっさんが夢見て何が悪い」を思い出しました。もちろん、佃社長のチャレンジと、スケールや難易度では比べものにはなりませんが、願いをもってあきらめず、繰り返し挑戦し続ける点では共通するところがあると感じています。
今回のことで様々なことを感じ、思い、考え、学んだことがありました。
・コマを回し、浮いた状態を保つためには、適した位置(条件)があります。様々な調整をすることを通して、目には見えない磁力線が見えるような感覚になりました。
・太陽の影響もあるのでしょうか。以前に成功したときと同じ調整であっても回らないことがあります。時刻や天候によって磁場が異なるなど、これが「自然の世界」と感じました。
・一度宙に浮くと3分ほど回っています。地面と違い抵抗が小さく、リニアに代表されるよう多岐に渡る省エネへの利用が考えられると思いました。
・この現象や原理は、過去に研究・学問としてまとめられていたでしょうが、その性質を利用して製品化されるのが今日の多様化でもあると思います。先に見た宙に浮く地球儀もそうですが、様々な知識・技術を組み合わせ、新たに生み出された製品が生活に入ってきており、改めてそうした時代の変化を感じました。
・これからの社会において、新たな原理や特性を発見すること、それを利用して形にした物を生活に生かすことなど、子どもたちには「生み出し活用する」力も必要になると考えます。
現在、小学3年生の理科の授業で磁石(中学2年生で電流と磁界)を学習します。実験を通して、「磁石に引き付けられる物」「異極と同極」など磁石の性質を見出しますが、その理解で止まらず、前述のような現象に触れることで、子どもたちの学ぶ意欲は一段と高まるでしょう。常識を覆す現象や事象は、間違いなく子どもたちの目を輝かせます。教員にとっては、こうしたことも教材研究であり、子どもの心に火をつける営みであるとも思っています。
子どもたちの学びは、未来社会の基盤づくりです。こうした探求の楽しさを味わう機会を様々な角度から提供していきたいと考えています。
