文化 八百津町・早稲田大学交流事業 世代を超えて音楽でつながる

当町出身の元外交官、杉原千畝氏の母校である早稲田大学。その男声声楽部である『早稲田大学グリークラブ』が町を訪れ、美しい男声合唱を披露しました。八百津町と早稲田大学の交流事業は、今年で7年目を迎えました。

交流事業は2日間を通して行われます。1日目は、町内の中学校2校にグリークラブの大学生が訪れ、中学生に向けた合唱の技術指導の時間です。授業のはじめに大学生からの合唱が披露されると、その声量と美しい歌声に子どもたちから拍手が送られました。その後、クラスやパートに分かれて合唱のレクチャーを受けます。「単語の一番最初の発音に気を付けて歌ってみると、丁寧になりますよ」「合唱は体育と同じで体を使うから、準備運動から始めましょう!」など、目からウロコの指導に、子どもたちも興味深々に聞き入りました。
指導が終わると、教わったことを意識して合唱。確実に高まった気持ちと技術で、音楽交流は大成功となりました。
グリークラブの代表は、「合唱は一人で歌うものではなく、周りの音を受けとって心を揃えて歌うもの。難しいけれど、ぜひ楽しんでいただきたい」と結びました。
その後、大学生は杉原千畝記念館を訪れ、改めて戦禍の歴史や、それに立ち向かった杉原氏の人道の心について学びました。

翌日は、『ワセダヒューマニティコンサートʼ25』と題し、早稲田大学グリークラブによるコンサートが開幕。10代から80代まで世代を問わず多くの町民のみなさまが観覧しました。
グリークラブの神髄である『早稲田大学校歌』からはじまり、小中学校の合唱曲としても有名な『COSMOS』『Believe』や、大人世代は耳馴染みのある『なごり雪』『宇宙戦艦ヤマト』『家族になろうよ』などが歌われました。
終盤には、過去の杉原千畝記念短歌大会の大賞作品をもとに制作され、八百津町の子どもたちに歌い継がれている合唱曲『心のピース』も披露され、八百津に寄り添う舞台に感動の拍手が起こりました。

コンサート終了後は、グリークラブによるロビーでのお見送りも。参加された町民からは、「技術の高さや合唱への情熱を感じました(10代)」「毎年聴きに来ていますが、すごくきれいな歌声で鳥肌が立ちました(20代)」「合唱曲に小中学校時代を思い出し懐かしくなりました(30代)」「男声合唱は初めてでしたが、低音の響きが美しく感動しました(40代)」「懐かしい曲をいっしょに口ずさみました(60代)」「なごり雪を聴いていたら、胸がいっぱいになりました(70代)」「歌う側も聴く側も心がひとつになりよかったです(80代)」など多数のお声をいただきました。
ワセダヒューマニティコンサートは今後も開催を予定していますので、ご興味のある方はぜひ足をお運びください。

はじめは杉原千畝氏がつないだ縁。それが回数を重ね、早稲田大学と八百津町との固い絆になってきています。学校同士の交流活動も、町民のみなさまとのコンサートを通じたつながりも、どちらも引き続き育んでいきますので、見守りくださればうれしいです。

この事業は今年度に限り、八百津町合併70周年記念事業の一環として開催しました。

■早稲田大学グリークラブのご紹介
早稲田大学グリークラブは、1907(明治40)年、早稲田大学音楽会声楽部として活動を開始しました。大学創立25周年を記念して作られた校歌(通称『都の西北』)を初披露するために結成され、今年10月で創立118年を迎えます。以来、歴史と伝統を誇る大学男声合唱団として活動を続け、各界で活躍するOBを多数輩出してきました。
活動の主軸は年間4〜5回の定期公演で、コンクールには出場しない方針を長らく貫いています。入学式・卒業式など大学の重要式典における校歌演奏・歌唱指導をはじめ、校友会(稲門会)の行事、他団体との合同演奏会、さらにはテレビ出演や依頼演奏など、幅広く活動しています。
八百津町「ワセダヒューマニティコンサート」の出演は、今年で4回目となります。
早稲田大学グリークラブが目指すのは、単なる「すばらしい男声合唱」ではありません。男声合唱を通じて創出される「究極のエンターテインメント」です。演奏する楽曲だけではなく、自分たちの演奏そのものにこそ価値を見出したい―それが願いです。「男なら歌え 早稲田を歌え」
早稲田大学グリークラブ 第118代部長 髙橋良輔

ワセダヒューマニティコンサートに関するお問い合わせ:教育課 社会教育係
(内線2516・2518)