- 発行日 :
- 自治体名 : 静岡県沼津市
- 広報紙名 : 広報ぬまづ 2025年12月1日号
■育てる人も。食べる人も。沼津の“食”を支える仲間
「いいものを届けたい」
青空の下、井出の畑で迎えてくれたのはプチヴェールなどの野菜を育てる深澤さん。
毎日、畑の様子を見て土や水の量を調整します。「屋外の畑で作る露地野菜は、天気や気温に左右されるから工夫が必要なんだよ。優しくしすぎてもよくないから」そんな深澤さんの畑には、生き生きとした野菜が広がっています。
周囲からの評価が高い深澤さんの野菜の秘密は、多くの手間や工夫です。プチヴェールは寒い中3時間もかけて、ひとつひとつ丁寧に手で収穫します。「収穫した野菜は、市場に出荷したり、学校給食に使ってもらっているよ。手間はかかるけど、いいものができたときは嬉しいね。自信を持って出せるものだから、これからもおいしい野菜を届けていきたい」と胸を張ります。
プチヴェールは1月から2月が一番おいしい時期ということで、おすすめの食べ方を伺うと「そんな難しいことはしなくても、ゆでておかかと一緒におひたしにするとうまいよ。あとはツナマヨと和えたり天ぷらにしてもいいね」と教えてくれました。
毎日畑に愛情を注ぐ深澤さん。頑張って常にいいものを作りたいという深澤さんの想いが、毎日の食卓や学校給食に届いて多くの笑顔を生んでいます。
「それぞれの想いを伝えたい」
マックスバリュ沼津南店で地場野菜や地域の名産品などを集めたじものコーナーを担当する柏木さんが「地元の野菜は新鮮さが違うんです。採れたてが届くので、みずみずしい野菜が並ぶんですよ。お客様にも人気なんです」と売り場を見せてくれました。
生産者によって時間は様々ですが、朝7時頃から生産者が自分たちの足で旬の野菜を並べに来ます。
柏木さんは、生産者と消費者の架け橋の役割としてそれぞれの想いをつないでいます。「◯◯さんが作った野菜をもっと置いてほしい」といった消費者からの要望を生産者に掛け合うこともあるそうです。生産者から話を聞き、その想いを届けることも欠かしません。
店頭では「沼津産」や「愛鷹産」といった産地の札を掲げ、商品の説明や生産者の名前、写真を添えることもあります。「私たちは売り場を作ることしかできませんが、一人でも多くの人に立ち止まってもらえたら嬉しいです。生産者の気持ちが届くような売り場にしたいですね」と笑顔を見せてくれました。
並んだ野菜の色や香りから、季節を感じられる売り場には、地元の恵みやふるさと自慢のおいしさを伝えたいという柏木さんの想いと、まちの誇りが詰まっています。
「給食から学ぶ野菜の力」
原小学校の給食時間、「今日のやさいおいしい!」そんな元気な声が教室内に響きます。
市内の小・中学校では、子供たちが〝食〟に親しみ、地域を感じながら学ぶ取組として、地元で採れた旬の野菜を積極的に給食に取り入れています。栄養士と教員の資格を併せ持つ栄養教諭の鈴木さんは「旬の地元野菜は豊富な栄養素が摂れるのはもちろん、子供たちに地場産物というものを知って、味わってもらえる機会なんです」と話します。
鈴木さんは原小学校を拠点として市内の学校を回り、食に関する授業を行っています。給食の時間は教室を訪れ、子供たちと授業の振り返りをすることもあるそうです。こうした工夫を通じて、子供たちが食べることを楽しみながら学べるようにしています。「野菜が苦手でも、野菜について知ることで、少しずつ興味を持って食べようとしてくれる子もいるんです」と鈴木さんは嬉しそうに教えてくれました。
毎日の給食は、子供たちが地域や自然とのつながりを感じ、食への関心を深める大切な時間です。ただ食べるだけでなく、地元の味をおいしく、楽しく伝えるために鈴木さんは日々考え、授業を行っています。
■きょうのごはんに沼津の野菜を
買い物かごの中に沼津の野菜をいれてみませんか。そのひとつひとつにはまちの豊かな自然とたくさんの人の想いが溢れています。今回紹介した畑を見つめ続ける生産者や旬の味を届ける販売の現場、給食を通して子供たちに伝える栄養教諭のように、それぞれの想いと工夫が重なり、沼津の食を支えています。
家庭でも食卓に沼津の野菜を取り入れることでおいしさに触れ「このねぎ甘いね」「小松菜は骨にいいんだって」といった楽しい会話も生まれます。
また、旬の野菜を味わうことは、免疫力を高め、毎日を元気に過ごす力にもなります。忙しい日々の中でも、食卓に地元の恵みを取り入れることで、家族全員の健康を見つめ直すきっかけになるでしょう。地元をもっと感じるためにも、沼津の畑から届いた野菜を食卓やお弁当に加えてみてください。
沼津の野菜を味わい、楽しむことは、まちの未来を支える一歩です。そしてそれは、まちを元気にし、食を大切にする暮らしへとつながります。
育てる人も、食べる人も、沼津の食を支える仲間。今日のごはんに、沼津の畑から届いたひと皿を召し上がれ。
問合せ:農林農地課
【電話】055-934-4751
