くらし 【市長2026新春対談】深海から見える 沼津の未来(2)

■見て・触れて・楽しむ深海魚
[市長]猿渡先生は深海魚について学校や地域で出前授業をされています。実際に深海魚に触れる体験は貴重ですが、どのような思いで取り組まれているのでしょうか。
[猿渡]深海魚の魅力を伝えるとともに、海洋生物学を広く普及する「学びの場」にしたいという思いがあります。毎年行っている戸田深海魚大学は、子供から大人まで誰でも参加できる1日限りのイベントです。会場では、深海魚を間近で観察したり実際に触れたりしながら、研究者がその場で生態などについてわかりやすく解説します。全国から参加者が集まる、インパクトある企画ですよ。
[市長]普段は間近で見られない深海魚を、実際に触って専門的生態を知ることができるのは、このイベントならではの体験ですね。
[猿渡]そうなんです。以前、戸田観光協会主催の戸田深海魚まつりでも深海ザメの公開解剖を行ったことがありますが、全国から多くの人が集まり、深海魚がこんなに世間一般を惹(ひ)きつけるのかと驚きました。実際に、昨年の魚類学会で研究発表をした京都の高校生は、毎年深海魚大学に参加してくれている子だったんですよ。戸田での体験が学びにつながっていることを実感できて、とてもうれしかったですね。
[市長]それはうれしいですね。市では、以前から未利用魚をなんとか活かせないかという視点で、深海魚に着目してきました。これまで捨てられていた魚に、沼津の宝となる可能性があると考えたからです。水産資源を無駄なく活用することは、行政が取り組むべき課題です。庁内で深海魚プロジェクトを立ち上げるなどの取組により、いまでは深海魚が沼津を代表するキラーコンテンツとなりました。
[猿渡]深海魚を通じて海や沼津を知ってもらえるのはいいですね。戸田のトロール船で取れる深海魚は種類が多いんです。深海魚大学も毎年内容を工夫しながら、より多くの人に参加してもらえる、長く続く取組にしていきたいですね。

■食べて広がる深海魚の魅力
[市長]深海生物館には「美味しい深海魚」という展示コーナーがありますよね。
[猿渡]はい、私の研究のキーワードは「喰(く)える雑魚」なので、深海魚も立派な食材だということを伝えたかったんです。見た目で敬遠されがちですが、実は美味しい魚が多いんですよ。
[市長]メヒカリが代表的ですね。メヒカリやメギスの唐揚げなどは、食べたことのある人も多いですよね。
[猿渡]メヒカリは鮮度が良いと身がふっくらしていて、唐揚げはもちろん、塩焼きや煮付けにしても絶品です。深海魚は脂の質が良く、シンプルな調理ほど素材のうまみが引き立ちます。
[市長]深海魚大学にも「食べる」という視点を取り入れたら面白そうですね。
[猿渡]ええ、試食会や料理教室ができたらいいですね。深海魚料理コンテストを開いて、その場で渡された魚で料理をしてもらうのも面白いと思います。私が中学校や高校で行っている出前授業は、深海魚を学んだあと、実際に調理して食べてもらっています。最初は驚いていた生徒たちが、「美味しい」と笑顔になる瞬間が印象的です。
[市長]見た目からは想像できない美味しさが伝わると、ぐっと興味が湧きますしね。
[猿渡]深海魚は家庭で料理しても美味しいんです。私も東京の自宅に戸田から深海魚直送便を取り寄せて、料理する様子を動画で撮影したりしました。
[市長]いろんな調理法を知ってもらうことで深海魚の美味しさが広まってほしいですね。深海魚はふるさと納税の返礼品にもなっていて、地域の宝をPRしながら地元産業を支えることにもつながっています。
[猿渡]沼津といえば深海魚、そして「美味しい深海魚」という認識が広がれば、さらに需要は高まるはずです。
[市長]深海魚を食べてみたいと思ったら、沼津に足を運んでほしいですね。
[猿渡]ええ。沼津には水揚げされたばかりの新鮮な深海魚がありますし、最近は工夫を凝らした深海魚料理を出すお店も増えていますから。
[市長]はい、いけすで生きたタカアシガニの姿が見られるお店もあったりして楽しいですしね。