子育て 島田人 Shimadajin File #166

■地域の歴史を教え、子どもたちの成長を見守り続ける
大津小学校の城山登山を長年サポート
安藤博(あんどうひろし)さん(野田)

安藤さんは長年、地域のシンボル城山(じょうやま)に子どもたちと一緒に登りながら、歴史を伝承する活動を行っています。「あんどうじぃじ」と呼ばれて慕われる安藤さんは、地域の歴史とともに、人と人とがつながる喜びを伝えています。

●残したい地域の歴史
30年ほど前、大津小学校で行われた遠足に同行したことで始まった城山登山のサポート。地域の歴史を伝承することへの思いを話します。
「終戦後から、多くの遺構が発見される城山には戦国時代、周辺の城に向けてのろしを上げる砦(とりで)がありました。さらにさかのぼると、古墳時代の住居や井戸の跡が今でも残っています。地名にも人が住んでいた名残りがありますからね。大津地区の昔の様子も含めて、地域の歴史を知っているのは、恐らく私たちが最後の世代。大津小学校の子どもたちが城山に登る話を聞いたときは、この歴史が途絶えぬよう、若い世代に伝えていきたい思いました。地域のことは、知っておいた方がいいですからね」

●元気の源は子どもたち
今年で94歳の安藤さん。子どもたちとの交流は、元気の源になっていると話します。
「現在は毎年、2年生の児童が城山に登ります。住居跡などを説明すると『こんな所に家があったの?』など、良い反応が返ってきますし、山を登ればどの子も元気がよく歩いていきます。一緒に活動しながら多くの元気をもらっていますね。また、山頂に到着すると『みどりの城山 ほほえんで』から始まる大津小学校の校歌にちなみ、子どもたちは頂上から大きな声で校歌を歌います。その声はふもとの家にまで届き、歌声が聞こえてくると辺りでは『今日は子どもたちの登山の日だね』と話題になるそうです。子どもたちの姿や声は、地域全体を明るく元気にしてくれますね」

●人と人がつながる喜び
「家の近所を歩いていると、子どもたちからよく『あんどうじぃじ』と声を掛けられることがあります。城山登山の他、茶摘み体験の授業などを通して、子どもたちが顔を覚えてくれるようになりました。冗談を話すことばかりですが、人と話すことは本当に大切だなと実感します。
登山を通して地域の歴史だけではなく、子どもたちに伝えていることがあります。それは『あいさつをする』『けんかをしない』ということ。人との関わりの中で、あいさつをすることは基本的なことですし、けんかをしないで仲良くすることは、平和な世の中を作ります。歳をとってしまい、もう多くのことは教えられないけど、子どもたちの成長の糧になればうれしいです」
大津っ子みんなのじぃじとして慕われる安藤さん。人生の大先輩は、これからも子どもたちの成長を見守り続けます。