くらし 市政羅針盤(らしんばん)

染谷絹代(そめやきぬよ)市長が自ら、市政運営の方針を分かりやすくお伝えします。
今月のテーマ:「市長への手紙」から 静けさとにぎわいのあいだで

■にぎわいがもたらす弊害
去る10月26日に開催した「第17回しまだ大井川マラソンinリバティ」は、4年ぶりに島田市役所前をスタート地点として実施することができました。市役所改築工事の期間中は、島田第三小学校前からのスタートでしたが、今年はようやく市の中心部ににぎわいが戻ってきました。沿道からの温かい声援に包まれ、全国から訪れた約8,000人のランナーが笑顔で駆け抜ける光景は、まさに島田の秋を彩る風物詩となっています。
しかしながら大会後には、「マイクの音量がうるさい」「交通規制で外出できない」「家の前をランナーが通って落ち着かない」「我が家の玄関先で、大声での会話やストレッチは迷惑だ」といったご意見が寄せられました。また、島田大祭についても、「町内会から多額の寄付を求められた」「交通規制で自宅に帰るにも大回りを強いられた」「飲酒を強制される雰囲気がある」などのお声をいただきました。

■地域の行事が持つチカラ
「休日の朝は、静かにゆっくりと過ごしたい」そのお気持ちは、本当によく分かります。ご家庭での穏やかなひとときに、突然、人の流れや音が押し寄せてくれば、「落ち着かない」「迷惑だ」と感じられるのも当然のことと思います。いただいた声を真摯に受けとめ、今後は放送音量のより細やかな調整や、交通規制の時間短縮、運営スタッフの気配りやマナー啓発の徹底など、できる工夫を積み重ねてまいります。
一方で、マラソン大会や島田大祭といった行事は、単なるイベントではありません。地域の力を結集し、市民同士の絆を育む大切な「地域文化」であり、「まちの誇り」でもあります。特に島田大祭は、日本三奇祭の一つとして300年以上の歴史を刻み、地域の伝統を今に伝える貴重な祭りです。華やかな大名行列や三味線・長唄の調べ、島田鹿島踊、子どもたちの上踊りなど、大祭に興じる参加者たちの姿には、世代を超えたつながりと郷土愛があふれています。また「しまだ大井川マラソン」も、市民が一丸となって支えることで「おもてなしのまち島田」として全国に知られる存在になっています。

■同じ根っこを持つ異なる考え
近年は、こうした伝統行事や地域イベントに対して、「うるさい」「迷惑だ」「自分には関係がない」といった声が増えているのも現実です。便利さや効率を求める社会の中で、「互いに支えあう地域の文化」が少しずつ薄れつつあるように感じます。しかしこれまでも、まちのにぎわいや伝統文化は、一部の人だけで支えられてきたわけではなく、地域のつながりの中で皆さんが「守りたい」と願い、共に手を携えてきたからこそ、今の姿があるのではないでしょうか。
島田大祭もマラソン大会も、訪れる人々に「島田っていいまちだね」と感じてもらう絶好の機会です。そのにぎわいが地域商業に波及し、観光や交流人口の増加にもつながっています。また、運営を担う方々は、夜明け前から準備をし、交通整理や清掃に奔走し、まちの元気をつくろうと汗を流しています。その姿には、ふるさとを思う情熱と誇りがあります。
他方、静けさを求める方々も、「安心して暮らせるまちであってほしい」という願いを持っています。どちらの想いも、根っこでは「島田をより良いまちにしたい」という同じ気持ちから生まれています。

■静けさとにぎわいが調和するまち
まちは、にぎわいだけでは成り立たず、静けさだけでも続きません。人が集うところにはさまざまな生活音があり、息遣いがあります。その営みこそが、まちの魅力を形づくっています。今月のテーマのような事例は、皆さんの地元のお祭りや行事などでも散見されるのではないでしょうか。皆さんの地域では、どのように対応されていますか。一時の不便や騒がしさがあったとしても、それがまちの活力や未来につながるのだと、少しでも温かい目で見守っていただけたら幸いと、私は切に願います。
市としても、地域行事を支える人々の努力と誇りを尊重しつつ、生活環境への配慮を重ね、誰もが心地よく過ごせる環境づくりに努めてまいります。
静けさとにぎわいが調和するまち、島田。そんなまちを市民の皆さんとともに、これからも大切に育てていきたいと思います。

問合せ:秘書課
【電話】36-7117