子育て こんにちは、教育長です

■「アオバの季節」
可憐な花々に替わって初夏のやわらかな青葉の美しい季節です。この時季、郊外や公園の森でリズムよく「ホッホー、ホッホー」とフクロウらしき鳥の声が聞こえます。「アオバズク」です。「青葉(アオバ)の季節に南方から渡ってくるフクロウ」で「アオバズク」。「ズク」は、ミミズク、コノハズク、ワシミミズクなど、フクロウを意味する言葉です。昔、小学校で歌った詩には、フクロウの鳴き声は「ごろすけホーホー」でしたが、実際、薄暗い山で聞こえるのは、「ホーホー…(数秒おいて)ゴロスケホーホー」なんです。「ゴロスケホーホー」が「ぼろ着て奉公」と表現されることもあります。
さて、こうして鳥や動物の鳴き声を人の言葉に置き換えて表現し覚えることを「聞きなし」といいます。ウグイスの「法(ホー)、法華経(ホケキョウ)」は代表的ですね。今、軒下で子育てに夢中のツバメの聞きなしもあります。電線にとまって「土(つち)食(く)って虫(むし)食(く)って渋(しぶ)ーい」って、聞き覚えありませんか?
桜やツバキの花に集まり蜜を吸うメジロは「ちょう兵衛ちゅう兵衛ちょうちゅう兵衛」。ホオジロは「源平ツツジ、茶ツツジ」または「一筆啓上(いっぴつけいじょう)つかまつり候(そうろう)」。「ちょっと来ーい、ちょっと来ーい」はコジュケイ。静岡県の県鳥「サンコウチョウ」の聞きなしは「月日(つきひ)星(ほし)ホイホイホイ」、だから三光鳥なんですね。ウグイス、オオルリと共に日本三鳴鳥の一種コマドリは「ヒーン、カラカラカラ」。馬の嘶(いなな)きに似ているので「駒鳥(こまどり)」。コマドリは深山に生息するので、なかなか姿はみられません。
でも、早朝耳をすますと、たくさんの鳥たちの愉快なさえずりが野山のあちこちから聞こえてきます。教師の頃、この「聞きなし」の話をよく生徒にすると、授業よりはるかに目を輝かせていました(苦笑)。ご家庭でお子さんと一緒に耳をそばだてて聞いてみてはいかがですか。「土食って虫食って渋ーい」って聞こえるかどうか。終わりを「渋ーい」と無理矢理でも聞き取れるかが会話を弾ませるポイントですよ。