くらし YOU and IZUNOKUNI(あなたと伊豆の国)第42回

中山(なかやま)操(みさお)さん
中央図書館司書

■本が広げる想像力の世界
「読書は没入体験です。物語の主人公の気持ちになってみたり、動きを真似してみたり。イラストが無くても文章から自由に想像できるのが本の最大の魅力です」と語るのは、図書館司書の中山操さん。
幼い頃から大の読書家で、「小学生の頃はクラスで一番本を読んでいました」と笑顔で話す中山さん。本に関わる仕事への夢を抱き、司書課程のある大学に進学。東京の図書館で勤務する中、「地元に図書館ができる」と聞いて、伊豆の国市(旧大仁町)の図書館司書としてUターンしました。
中山さんの仕事は、本の貸し出しや返却対応、調べものの支援(レファレンスサービス)はもちろん、新しい本の選定、新着本の登録、展示企画の準備、そして子どもたちへの読み聞かせなど多岐にわたります。
「利用した人に『ありがとう』と言ってもらえた瞬間が、この仕事の喜びです。また、多い時には月に100冊もの新しい本が入ってくるので、幅広い知識に触れられるのも楽しいです」と中山さん。特に、「読み聞かせのとき、子どもたちが真剣なまなざしで物語に集中してくれる姿に、大きなやりがいを感じます」。
スマートフォンやゲームの普及で、読書から遠ざかる人も増えています。しかし中山さんは、「読書や読み聞かせは、子どもの語彙(ごい)力や聞く力、そして何より想像力を育みます。文字から広がる物語の想像に、唯一の正解も、間違った解釈もありません。自由に感じ、その感想を誰かと語り合うことで、読書は個人の趣味を超え、人との関わりを広げるツールにもなります」と力説します。
本との出会いをきっかけに、多くの人に読書の楽しさを知ってほしいと願う中山さん。あなたも図書館で、新たな物語の扉を開いてみませんか。