健康 森町地域包括ケア講座No.30

■「リンパ浮腫への適切な治療を」
がん治療は大きく進歩し、がんが「命を落とす病気」ではなくなってきました。
その一方で、治療後に「生活の質(QOL)をどう保つか」がますます重要になっています。今回は、がん手術後の後遺症としてみられるリンパ浮腫についてお話しします。
私たちの体を流れる血液の一部(赤血球を含まない約1割ほど)は、静脈ではなくリンパ管を通って心臓に戻ります。がん手術では再発を防ぐためにリンパ節を切除することがあり、その影響でリンパの流れが悪くなると、皮膚の下にリンパ液がたまり、むくみとして現れます。これがリンパ浮腫です。
リンパ浮腫は乳がんや子宮がんの術後に起こることが多いですが、放射線治療やケガのあと、さらには治療歴がない(原発性リンパ浮腫)場合に発症することもあります。
がんは多くの場合、5〜10年再発がなければ通院が終了することもありますが、リンパ浮腫はそれ以降に発症することもあるため注意が必要です。一度発症すると治りにくい病気ではありますが、適切な治療によって症状をコントロールし、上手に付き合っていくことができます。
近年はリンパ浮腫の検査技術も進歩し、より正確な診断が可能になりました。治療の中心となるのは、専用のきつめの靴下「弾性ストッキング」です。価格はやや高めですが、条件を満たせば保険が適用される制度があります。市販で十分でないものを購入するより、保険を利用して適切なストッキングを選んだ方が、自己負担が少なく、効果も安定します。
がん手術の経験がある方はもちろん、原因のわからないむくみが続く場合も、放置せずに専門の医療機関へ相談してください。リンパ浮腫を専門に診療する施設は全国的に増えてきていますが、静岡県内ではまだ多くありません。
浜松医科大学にはリンパ浮腫センターがあり、専門的な診療を行っています。お困りの際は、どうぞ気軽にご相談ください。