- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県津島市
- 広報紙名 : 市政のひろば つしま 令和8年1月号
■胃がんについて
津島市民病 院消化器内科医師
伊藤優理子(いとうゆりこ)
◇胃の働き
胃は、食べたものを一時的にためて、胃酸や消化酵素を使って細かくし、腸で吸収しやすい形にする大切な臓器です。胃酸により食物と一緒に入り込んだ細菌を殺菌することもできます。胃の内側は粘膜でおおわれ、強い胃酸から守られています。また、蠕動(ぜんどう)運動により食べ物を少しずつ腸へ送り出す働きもあります。
◇胃がんとは
胃がんは、胃の内側を覆う粘膜の細胞ががん化し、無秩序に増える病気です。日本では長年、がんの中でも多く見られる病気の一つです。主な原因として、ピロリ菌感染が知られています。ピロリ菌は胃の中に長く住みつくことで慢性的な炎症を起こし、長い年月をかけてがんになることがあります。ほかにも、塩分の多い食事、喫煙、過度な飲酒、野菜や果物の不足なども危険因子です。
初期の胃がんはほとんど症状がありません。進行すると、胃の不快感、食欲不振、体重減少、吐き気、黒っぽい便(出血)などが見られることがあります。しかし、これらの症状は他の病気でも起こるため、早期発見には定期的な検査が大切です。
◇診断
胃がんの診断には主に胃内視鏡検査(胃カメラ)が用いられます。内視鏡で胃の中を直接観察し、疑わしい部分があれば小さな組織を採って調べます(生検)。組織検査の結果から確定診断に至ります。
他にも、バリウムを飲んで撮影する「胃X線検査」もがん検診等のスクリーニングに使われます。最近では、ピロリ菌の有無を調べる血液検査や呼気検査も行われています。
◇治療
治療方法は、がんの進行度によって異なります。
早期胃がんでは、内視鏡を使ってがんを切り取る「内視鏡的切除」が行われることがあります。体への負担が少なく、手術後の回復も早いのが特徴です。
進行胃がんでは、胃の一部または全部を切除する手術が必要になります。がんが周囲のリンパ節に広がっている場合は、それも一緒に取り除きます。
手術で取りきれない場合や再発がある場合には、抗がん薬(化学療法)や分子標的薬、免疫療法が用いられます。近年は薬の進歩により、以前に比べて長く生活を続けながら治療を受けられる方も増えています。
◇さいごに
胃がんは、早期発見が何よりも大切です。早期のうちに見つかれば、体に負担の少ない治療で治る可能性が高くなります。胃がんは初期の自覚症状が乏しく、症状がでてからの受診では進行がんとなってしまう可能性が高いです。自覚症状がなくても、40歳を過ぎたら定期的な検診を受けることをおすすめします。また、ピロリ菌陽性の場合には、7日間の内服での除菌療法が考慮されます。ピロリ菌を指摘された場合は除菌について医師にご相談ください。
