- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県津島市
- 広報紙名 : 市政のひろば つしま 令和8年2月号
市民病院 院長
川井 覚
■年を取って入院するということ
高齢の方が入院をきっかけに認知症が進んだとか、歩けなくなったなんてことをよく耳にします。
高齢者の入院の原因は肺炎、尿路感染症、脚の付け根の骨折などが多いとされています。感染症にかかると、熱が出て体がだるくなるなど体を動かすことが減り、大腿骨の骨折では痛みで自由に動けなくなります。ベッド上で過ごす時間が長くなると、外部からの刺激が減り、認知機能の低下や筋力・体力が落ちて歩けなくなったり転びやすくなります。
また、高齢になると環境の変化に適応することが難しくなります。病室という自宅とは大きく異なる慣れない環境で、毎日違う看護師さんと顔を合わせることは、戸惑いや不安・混乱が生じることもあります。また、入院中は、身の回りのことを病院の職員がしてくれることも多いので、自分で考えて行動することが減り、脳への刺激が減ってしまいます。入院していることも忘れてしまい、一時的な意識の混乱である「せん妄状態」になることもあります。
せん妄状態になると、点滴を引き抜いたり、ベッドから落ちて骨折したりすることがあります。中には入院していることを忘れて、自宅に帰ってしまわれることもあります。これは患者さんの治療に影響したり、新たな治療が必要になるなど、我々医療者にとっては悩みのタネでもあります。
手術後などで点滴治療や安静が必要な場合は、やむを得ず身体拘束が必要になることもあります。そうすると、不自由な状態から抜け出そうと暴れたり、手や足が出る患者さんも少なくありません。
昔からこういったことはあったのですが、高齢化が進むにつれ、こういった件数が多くなっているように感じます。患者さんは、せん妄状態になったときのことを覚えてないので、誰が悪いわけではありません。
明日は我が身と思いながら、出来るだけ入院が必要にならないよう、日頃から食生活に気を配り、体を動かして健康を維持しなければと思うこの頃です。
