健康 私のカルテ No452

■口唇ヘルペスについて
津島市民病院 皮膚科医師
杉野由希子(すぎのゆきこ)

◇はじめに
「口唇ヘルペス」という名前を聞いたことがある方、または実際になったことがある方も多いのではないでしょうか。口唇ヘルペスは唇やその周りに軽い痛みを伴う水ぶくれができる病気です。
今回は、この口唇ヘルペスについてお話しさせていただきます。

◇口唇ヘルペスの症状
唇やそのまわりの皮膚に、かゆみ・ピリピリ・チクチクといった違和感が出たあと、小さな水ぶくれができます。水ぶくれはしだいにかさぶたへと変化し、数日から1〜2週間ほどで治っていきます。

違和感や痛み→水疱→痂皮→治癒

◇原因
口唇ヘルペスは「単純ヘルペスウイルス」というウイルスの感染によって起こります。症状がある方の水ぶくれや唾液の中にウイルスが含まれており、これが皮膚や粘膜を通して感染します。感染したウイルスは、体の中の神経に潜んでいます。おとなしく潜伏しているだけでは症状はありませんが、疲れ・ストレス・風邪・強い日焼けなどで免疫力が落ちると、ウイルスが再び活動し、症状が出てきます。
一度感染するとウイルスを体から完全に追い出すことはできないため、再発をくり返すことがあります。

◇治療
体の中に潜伏している単純ヘルペスウイルスを排除する方法は残念ながらありませんが、症状がでているときには、抗ヘルペス薬というウイルスの増殖をおさえる薬を使います。飲み薬と軟膏があり、症状が出てからできるだけ早く治療することで、症状が軽くなることが期待できます。

◇症状が出ているときの注意点
水ぶくれの中にはウイルスがたくさん含まれており、周りの人に感染が広がることがあります。周りの人にうつさないために、次のことに気をつけましょう。
・患部を触ったあとは、必ず手を洗う
・コップやタオルの共有を避ける
・キスやスキンシップは控える

◇くり返し再発する方へ(PIT療法について)
再発性の口唇ヘルペスには「PIT(Patient Initiated Therapy)療法」という治療方法があります。ヘルペスを繰り返す方の多くは、「ヘルペスがまたでてくるな」という予兆を感じることができるといわれています。あらかじめ抗ウイルス薬を病院で処方してもらい、唇の違和感や痛みを感じた時点で、ご自身の判断で服用します。違和感がでてから6時間以内に内服すると効果的です。「いつもの症状だ」と自分で判断できる方は、皮膚科で相談してみてください。PIT療法の対象となる方は、次のとおりです。
・再発性の口唇ヘルペスの方
・口唇ヘルペスの再発頻度が年3回以上の方
・再発の初期症状を判断できる方

◇さいごに
口唇ヘルペスは、疲れ・ストレス・体調不良などで再発しやすい病気です。無理をせず、体を休めることも大切です。もし症状が出てしまったら、早めに皮膚科を受診しましょう。正しい知識と早めの対応で、つらい症状を軽くすることができます。