健康 〔院長コラム〕一緒に考えましょう 健康のこと 医療のこと(92)

市民病院　院長　川井　覚

◇ボランティア活動と健康
ボランティアとは報酬を目的とせず他人や社会に貢献する活動全般のことをいいます。最近は社会の高齢化が進んではいますが、ボランティア活動に勤しむ元気なシニア世代が増えているようにも感じます。
多くの人生経験とスキルを有するシニア世代がボランティア活動に参加することで生きがいを感じ、社会に貢献し、なおかつ自分自身の健康寿命も伸ばす。これがボランティア活動のおおきなメリットではないでしょうか。
以前よりセカンドライフにおいてボランティア活動をすると健康でいられるといわれています。ボランティア活動で外出することにより活動範囲が増え、友人や仲間と交流することで様々な刺激を受ける。そして必要とされる存在になることで精神的に充実感が得られることが健康で過ごせる要因だと思います。
しかし、いくらボランティア活動と健康長寿が関連するからといって、義務的に参加するようではその効果は期待できないといわれてもいます。ボランティア活動のモチベーションと死亡率を調べた研究では、「誰かのためになる」という他者志向を動機としている人が死亡率が低下したと報告されています※1。
また、ボランティア活動の総時間に着目した米国の研究では、心身の健康維持のためには活動時間は長いほどよいが、健康長寿のためには定期的かつ無理のない範囲でボランティア活動に取り組むことも重要とされています※2。
津島市民病院でも多くのボランティアの方が生き生きと活動されています。病院でのボランティアの活動は、特別な資格がなくても患者さんの役に立ちたいと思っている人なら誰にでもできます。医師、看護師、その他の職員と協力して、患者さんが少しでもよい状態のもとで安心して治療を受けることができるように、様々なサービスを提供していただいています。
当院では患者さんのさらなるサービスの向上を図るため、ボランティア活動を行っていただく方を募集しています。ご興味のある方は気軽に病院までお問い合わせください。

《参考文献》
※1
Sara Konrath 1,Andrea Fuhrel-Forbis, Alina Lou, Stephanie Brown. Motives for volunteering are associated with mortality risk in older adults. Health Psychol. 2012；31(1)：87-96.
※2
Nancy Morrow-Howell 1,Jim Hinterlong, Philip A Rozario, Fengyan Tang　Effects of volunteering on the wellbeing of older adults. J Gerontol B Psychol Sci Soc Sci.2003；58(3)：S137-145.