- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県小牧市
- 広報紙名 : 広報こまき 令和7年6月号
■咳喘息 (せきぜんそく)
呼吸器内科 部長医師:高田 和外
◇どのような症状になりますか?
咳(せき)が長引くという経験をされた方は多いのではないでしょうか。咳が3週間以上続く場合は他に病気が潜んでいることもあり、最も多い原因は「咳喘息」といわれています。空咳が症状となる気管支喘息の一種です。喘息、というと特殊な病気のように聞こえるかもしれませんが、喘息の特徴となる気道過敏性(気管支が刺激に敏感な状態)は症状が全くなくても約20%の人にみられます。気道過敏性は気管支の炎症から生まれますが根本的な原因はまだはっきりしていません。この「気管支が敏感な状態」をもっている人が、感染(風邪など)やアレルギー(花粉やハウスダストなど)やストレス(身体的、心理的)などをきっかけとして咳の発作が起きることを咳喘息といいます。
◇どのように診断しますか?
診断は総合的に行います。咳は、就寝前や早朝に多く、気温差や会話や運動で起こりやすくなることが特徴です。レントゲン検査、血液検査、肺機能検査、呼気一酸化窒素測定などを行います。気道過敏性はヒスタミン吸入検査で測定できますが、治療薬の効果をみて診断することが多いです。
◇どのように治療しますか?
気管支の炎症を抑えるための吸入ステロイド薬や気管支を拡げる吸入気管支拡張薬という「吸い込む薬」が中心です。1週間程度で咳は減りますが、咳が完全に治っても気管支の炎症は残っているのでここで治療をやめてしまうとまた咳がでます。症状をみながら3~6カ月毎に薬を減らしていくことが一般的です。少ない薬の量でもある程度の期間症状がなければ吸入薬終了を試します。治療終了後に咳がぶり返してしまう場合はより長期間の治療が必要です。
気管支の炎症を残したままだと、咳喘息からより症状の強い気管支喘息になります。しかし残念ながら気管支の炎症を調べる検査は確立されていません。いつまで治療を続けるか、薬をやめても大丈夫か、は予測ができないので、治療を進めながら判断します。
◇長期の治療でも安全ですか?
治療の吸入薬の安全性は高いので、診断前の使用や長期治療も安心です。よくみられるのどの副作用(違和感、かすれ声)も薬を替えることで落ち着くことが多いので、ご自身に合った使いやすい吸入薬を選ぶことが大切です。また安全な吸入薬といえども長い年数で生じる副作用もあるので、数カ月毎に治療が合っているかを確認しながら続けます。
◇最後に
咳が続く時は是非お近くの医療機関を受診してください。診断や治療の難しい場合は市民病院でも対応しています。
・病院ホームページ
・呼吸器内科ホームページ
(本紙18ページの二次元コードをご参照ください。)
問合先:市民病院
【電話】76-4131