- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県岩倉市
- 広報紙名 : 広報いわくら 2026年2月号
■林 裕己(はやし ひろみ)さん(家族アートユニット サクラデファミリア代表)
挫折、喪失、そして再生。家族アートユニット「サクラデファミリア」として活動する林さんは、数々の試練を経て、家族との新たな時間の中で新しい表現を見つける旅に出ました。家族とは、アートとは何か、多くの出会いの中で生まれたものは新しい表現でした。
学生時代は油絵を学び、その後は現代美術の作家として自分を追い込んでいく芸術を追求していました。ところが、支えてくれていた家族が相次いで病気になってしまい、創作活動を続けることが難しくなりました。それがギャラリーでの企画や色々なところから声をかけてもらえるようになってきた矢先の出来事であったこともあり、心折れ、それまでの作品の大半を捨て表現の道を離れ、生活のために働くことを決めました。
それまで作品を作ることだけを考えて生きてきたので、働き始めたらますます心が病んでしまい、どうやったらこの闇の中から抜け出せるのか分からなくなってしまいました。そうした時、将来の妻となる人に出会い、結婚し、こどもを授かりました。
新しい命を授かったときに、生き直したい、今までのように自分を追い込むのではなく、全く別の形のアートをしたいと思うようになりました。でもどうしたら、そう考えたとき、他のアーティストは家族を持ちながらどうやって活動を続けているんだろうと疑問に思いました。そうして、その後現在まで20年続く、アーティスト家族を家族で取材する「表現と家族」という長い旅が始まりました。
旅の中で今まで取りこぼしてきた物に気付くことができました。自分が苦しんでいたとき、実は親も苦しみを分かち合っていたこと、友人や隣人、地域がいかに自分を形作っていたのか、新しい発見でまた新しい自分が形成されていく、自分を作ってくれていたのは周りの人たちだったのだな、と外に目を向けて考えられるようになったと言います。
「今でも何かを追求しようとすると心が鬼になってくる。そういう時は生えてきた角をぽきっと折って、中途半端でも大事なものをそのままの形で出していきたい」そう語っていただきました。
