- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県豊明市
- 広報紙名 : 広報とよあけ 令和8年2月1日号
節気も大寒(だいかん)から立春にシフトし、これからは三寒四温(さんかんしおん)を繰り返しながら、あちらこちらから春の便りが聞こえて来ることでしょう。
「そうね〜。白梅は、次々と開き始めているし、昨日も枝のところどころに、花芽の先が割れて黄色くちっちゃい蕾の固まりをのぞかせている木を見ましたよ〜」ああ、それはきっとサンシュユですね?では今回はサンシュユを紹介させていただきましょう。
サンシュユはミズキ科ミズキ属の一種で、中国中部から東部沿岸、および朝鮮半島、さらに日本の中山間地に分布しています。
今でこそ、初春に花を咲かせる庭園木(ていえんぼく)の一つとして、観賞の対象となっているサンシュユですが、この種(しゅ)は古代より生薬として名を轟かせてきました。659年刊の『新修本草(シンシウベンツァーオ)(しんしゅほんぞう)』においては「山茱萸(さんしゅゆ)の効能は、酸味があるものの、中性で、体をわずかに温め、無毒である。主な効能は、内臓を温め、悪寒(おかん)や神経麻痺(しんけいまひ)を払い、寄生虫(きせいちゅう)を退治し、滋養を強め、精気を養う…」のような記載があり、その分類も〈木部上品(もくぶじょうひん)〉と、最上位におかれていることから、漢方薬の要素として重要視されていたことがうかがわれます。
『植物渡来考(しょくぶつとらいこう)(白井幸太郎(しらいこうたろう)/昭和42年)』の木部サンシュユの項には「名称/漢名山茱萸(さんしゅゆ)、来歴/支那(しな)原産小石川植物園(こいしかわしょくぶつえんそう
)草木目録云(もくもくろくにいう)享保(きょうほう)七年朝鮮より山茱萸渡る…」とあり、小石川植物園草木目録の作者である伊藤圭介(いとうけいすけ)によるところでは、サンシュユが渡来したのは徳川吉宗が享保の改革を推し進めている真っ只中。この頃は物価高騰により江戸町民の栄養状態は最悪の状態でした。その対策の一つとして、貧しい町民や浪人を無料で治療する施設として小石川養生所(こいしかわようじょうじょ)が開設されています。その背景にあって、〈良薬山茱萸(りょうやくさんしゅゆ)〉の到来は幕府にとっても大きな助けになっていたかもしれませんね。
「さっきから薬草ばかりで、お花の話はどうなさいましたの?」おっと、失礼しました。サンシュユの花は、これから3月の上旬にかけて、枝に黄色い小花を無数に咲かせます。一つ一つの花は小さいものの、満開時には木全体が黄色く染まり、とても明るい雰囲気を漂わせます。花が終わると結実し、この実は秋に鮮やかな赤色に熟します。そのまま生だとちょっと渋いので、食用には不向きですが、これを乾燥させることで、食用や薬用に使うことができるということです。
それではどうぞお風邪を召されませんよう、お大事に〜!
※写真は広報紙18ページをご覧ください。
執筆/愛知豊明花き流通協同組合
理事長 永田 晶彦
