その他 海中さんぽ

■ヤリイカ
ヤリイカはツツイカ目ジンドウイカ科に属するイカで、細長く先のとがった姿形が槍(やり)のように見えることからヤリイカと呼ばれています。また、他のイカに比べて、獲物を獲るときに使う長い2本の腕(触腕)が短いことで見分けがつきます。日本周辺から朝鮮半島沿岸にかけて分布し、当地では定置網、底曳網(そこびきあみ)、釣り等で漁獲されたものが水揚げされます。
産卵期は冬から春にかけて、岩礁(がんしょう)のくぼみや大石の下、海藻、漁網、ドラム缶の内側、砂地等さまざまな場所に、直径3mmほどの卵が30~50個入った筒状の袋を産み付けます。卵から生まれたすぐのイカは泳ぐ力を持たない浮遊幼生期を経て、春から初夏にかけて深場に着底した後、深場で成長し、その後接岸して産卵し、1年の寿命を終えます。
初夏から夏のアオリイカの産卵はダイビングの見所として有名ですが、真冬の夜中に行われるヤリイカの産卵が観察できるところもあるようです。産卵期には船上のみならず、磯や防波堤から釣れることもあります。産卵期のオスは30~40cm、メスは20~30cmになり、高値で取引されます。
刺身は見た目が美しく、歯ごたえが良く上品な味わいで、また、子持ちイカを姿煮にして卵をおいしくいただけます。ヤリイカは見た目が美しく、食べてもおいしいだけでなく、動物の中で最も大きい神経細胞を持ち、神経系の電気生理実験の材料として役立っています。このヤリイカの神経細胞は医療に貢献し、脳型コンピュータの開発にも貢献しているようです。
低水温を好み、概(おおむ)ね15℃以下が適水温であるため、2017年8月に黒潮大蛇行が発生してからというもの、冬の水温上昇によってほとんど漁獲がありませんでしたが、2025年4月に黒潮大蛇行が終息したことに伴い、この冬は水温が黒潮大蛇行前の水温に下がり、ヤリイカの漁獲がみられているようです。