文化 きょういくあれこれ

■新たに2件の市指定文化財が誕生しました
令和7年5月23日(金)に、尾鷲市指定文化財として「尾鷲組大庄屋文書(おわせぐみおおじょうやもんじょ)(一紙文書(いっしもんじょ))」と「曽根石石切場跡(そねいしいしきりばあと)(小杉(こすぎ)C石切場跡)」の2件が指定されました。新規の市指定文化財の誕生は、平成25(2013)年10月9日に指定されたジュロウカンアオイ自生地(現在は県指定)以来、約12年ぶりとなります。

■曽根石石切場跡(そねいしいしきりばあと)(小杉C石切場跡)
当史跡は、江戸時代に紀州藩の御用石(ごよういし)として重宝され、江戸城の修繕や紀州藩主の墓所などにも使用された「曽根石(そねいし)」の採石地跡です。江戸時代前期後半から中期頃の石切場跡と考えられます。
今回指定の小杉C石切場跡は曽根町内に複数存在する石切場跡の一つで、林道小杉線の道中山側に位置しています。当史跡では、作業場・石曳(いしび)き道も確認でき、城郭の石垣に使用されるような大型石材も多数現存しています。
紀州藩の御用石の実態や、曽根地域の採石事業の歴史と手法を窺(うかが)い知ることができる貴重な史跡です。

◇文化財イベント情報
県立熊野古道センター特別展示室企画展付属講演会「文献資料から探る「曽根石」」
文献資料の調査成果を駆使して、主に曽根石の供給先についてお話します。
日時:6月8日(日)午後1時30分~3時
場所:映像ホール
定員:80人(参加費無料・要申込・先着順)
講師:脇田(わきた)大輔(だいすけ)(市教育委員会学芸員)

■尾鷲組大庄屋文書(おわせぐみおおじょうやもんじょ)(一紙文書(いっしもんじょ))
尾鷲組大庄屋文書は、江戸時代から明治初年にかけて、14カ村を統括した「大庄屋(おおじょうや)」が引き継いできた公文書・公務記録です。すでに指定されている文書は「冊子文書(さっしもんじょ)」と呼ぶのに対し、新指定の文書は一枚物の紙であることから「一紙文書(いっしもんじょ)」と呼び、16,810点にのぼります。一紙文書には、冊子文書に反映されない「藩を介さずに大庄屋の権限で処理が完了した事案に関する文書」も多数含まれているのが特徴です。
紀州藩の本拠地である和歌山から離れた当地域の大庄屋がもつ権限や機能のほか、当時の尾鷲地域のよりリアルな様相(ようそう)を窺い知るうえでも、貴重な古文書群です。

◇県立熊野古道センター特別展示室企画展「郷土の軌跡尾鷲市の文化財展」
市内の指定文化財すべてを現物・パネル・映像で紹介した展示です。
会期:6月22日(日)まで 期間中無休
時間:午前10時~午後5時
場所:特別展示室

申し込み・お問い合わせ:熊野古道センター
【電話】25-2666