- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県いなべ市
- 広報紙名 : いなべ市情報誌 Link 2025年10月号(vol.263)
執筆:ふるさといなべ市の語り部の会
◆金井城(員弁町)
金井城(大泉城)は、昭和58年2月に員弁町の史跡文化財に指定されました。大永2(1522)年、種村高盛(たねむらたかもり)によって築かれました。高盛は隣国近江の大名佐々木六角氏頼(ささきろっかくうじより)の末孫で、現在の東近江市の種村郷の城に居住していたので種村氏を名乗っていました。
金井城は南北に120m、東西に60mの大きさでした。曲輪(くるわ)と思われる場所には連歌会もできるような建物、東側に深い谷、南側には水運と防御を兼ねた員弁川、城の周りに空堀(からぼり)と土塁(どるい)があり、地の利を得た堅固な城でした。
しかし、他の市内の戦国期の城と比較すると、防御的には単純で、政治・経済を重視した構造でした。16世紀前半に隣国の大名六角氏は、北勢地方に進出するために鈴鹿山脈を越えて八風・千草街道の沿道を支配しました。その際、軍需物資調達のために、牛馬を保有する八日市の商人や鋳い物職人なども引き連れ、金井城周辺に移住させたそうです。八風・千草街道と十楽の津、桑名につながる員弁川の水運が交差する場所に金井城を築くことで、関銭(せきせん)を商人たちから効率よく徴収できたと考えられています。
〇金井城(城郭図)
ほぼ当時の原型をとどめ、整備されています。
問合せ:ふるさといなべ市の語り部の会 伊藤忠
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