- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県伊賀市
- 広報紙名 : 広報いが 2025年6月号
■伊賀の郵便事情
明治より前の通信手段と言えば、主要な街道筋に設置された宿駅(しゅくえき)と伝馬(でんま)制度を利用し、リレー形式で手紙や荷物を運んでいました。伊賀国では大和・伊賀・初瀬(はせ)の各街道の上柘植・佐那具・上野・島ヶ原・伊勢地・阿保・平松・平田・美濃波多・名張に宿駅がありました。その後、明治4(1871)年に「郵便創業の布告」が発布され、翌5年4月に上野東町や柘植、佐那具に郵便局が設置され、その後順次全域へと広がり、昭和5(1930)年までに現在伊賀の各地にある郵便局が開業しました。
伊賀地域の開業当時の郵便局では、郵便脚夫(ゆうびんきゃくふ)が箱を担いで津郵便局などを往復していました。手紙だけではなくさまざまな物品や貨幣なども取り扱うため、郵便脚夫は道中の安全のために武装している人もいたそうです。
また、上野郵便局の開業当初は関(亀山市)の郵便局に到着した郵便物を取りにいく回数が1カ月に6度の往復のみで、定められた日の朝に上野に向けて運ばれていました。明治7(1874)年になると津などの郵便局へ毎日何度も往復するようになり、郵便発信数も大幅に増えていきました。
本紙写真は、現在の上野丸之内の北伊勢上野信用金庫の辺りにあった上野郵便局の姿です。それ以前は上野東町にあり、モダンな建物だと市民の話題の的でしたが、大正14(1925)年に三等局から二等局へ改定する際に移転されました。それを記念して切手展なども開催されています。その後改築され、昭和35(1960)年に写真にある局舎が完成。次いで昭和57(1982)年に、それまで市民病院があった現在の位置に新築移転され、伊賀の郵便業務を担っています。
問合せ:文化財課歴史資料係
【電話・FAX】41-2271