- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県伊賀市
- 広報紙名 : 広報いが 2025年9月号
■和歌に詠まれた二つの森(垂園森(たれそのもり)と哀園森(あわれそのもり))
(俳句)※詳しくは本紙をご覧ください。
松尾芭蕉の門弟である服部土芳が詠んだ俳句です。
二つの森とは市の史跡に指定されている「垂園森」と「哀園森」を指します。
垂園森は千年以上昔から和歌の名所とされ、清少納言の『枕草子』「森は」の段には「うへきの森・岩田の森…たれその森・くるべきの森…。」と、日本の代表的な森のひとつに挙げられています。さらに平安中期の歌人、能因法師が記した歌学書『能因歌枕』にも、伊賀国の項に「誰その杜(もり)」と記され、平安後期の歌人、藤原清輔の記した歌学書『和歌初学抄』杜の項にも「伊賀 たれそのもり」とあり、平安貴族の間で垂園森は、よく知られた森でした。
垂園森の北方約400メートルにある哀園森も和歌の名所であり、かつては二つの森が一体であったことがうかがえます。江戸時代の芭蕉の足跡を慕い伊賀を訪れた肥前国出身の俳人、長月庵若翁(じゃくおう)により記された由来書には、「澄みたる夕景色いかにもあわれにさびしきところなり」と当時の様子が記録されています。
(和歌)※詳しくは本紙をご覧ください。
和歌に詠まれた二つの森周辺では、いにしえより人びとが連綿と暮らし続けてきたことが、発掘調査で分かっています。
冒頭の土芳の俳句は、木津川沿いから東の空を見上げたものと思われます。田んぼに水が張られる時期の夕暮れ時は特に、情緒あふれる雰囲気を醸し出します。清少納言もこの風景を眺めていたのかもしれません。
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