くらし 【特集】災害への備え(1)

■地震が発生するメカニズム
世界でも有数の地震大国といわれる日本。日本が地震大国といわれる理由には、日本列島周辺の地理が大きく関係しています。地球の表面はプレートという巨大な岩盤が集まり形成されています。日本列島の周辺には、「大陸プレート」(北米プレート・ユーラシアプレート)と、「海洋プレート」(太平洋プレート・フィリピン海プレート)という4つのプレートがあります。それぞれのプレートは1年あたり数センチの速度で動いており、そのプレートの動きが地震を引き起こすため、日本列島周辺では地震が多く発生します。
※地震がおこる仕組みの図は本紙P.2をご覧ください。

■発生が危惧される大地震
令和6年1月1日に発生した能登半島地震は、石川県の能登半島を中心に甚大な被害をもたらし、全国各地でも揺れを観測するなど、日本中に大きな影響を与えました。また昨年8月には宮崎県日向灘で発生した地震により、南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震が起こる可能性が平時より高まっているとし、「南海トラフ地震臨時情報」が初めて発表されました。南海トラフ地震は、静岡県の駿河湾から宮崎県の日向灘沖にかけてのプレートを震源域として、約100年~150年の間隔で繰り返し発生している大地震のことで、前回の発生から約80年が経過しています。政府の地震調査委員会は今年1月、南海トラフ地震の30年以内の発生確率をこれまでの「70%~80%」から「80%程度」に見直しました。また内閣府が3月に公表した最新の被害想定の報告書によると、南海トラフ地震が発生すると、最悪の場合、全国で死者約29万8千人、建物の全壊・焼失は235万棟にのぼると想定されています。中でも深刻なのは津波による被害で、全国各地の沿岸部では、地震発生後5分以内に津波が押し寄せる可能性があるとされています。さらに、地震が発生した後に時間差で大きな地震が再度発生する可能性も指摘されています(後発地震)。菰野町では、南海トラフ地震が発生すると、大部分が震度5強~6弱の揺れに襲われると予測されています。一方で、個人でも取り組める対策により被害を大幅に軽減することが見込まれるため、日頃からの備えが重要です。

※南海トラフ地震の震度分布図は本紙P.2をご覧ください。

■地震への備え
皆さんはもし今大地震が起こったら、すぐに適切な行動ができますか。日頃から災害に備えておくことが、あなた自身や、大切な人の命を守ることに繋がります。ここからは各家庭で行っていただきたい地震への備えを紹介します。最初にしていただきたいことは、非常持出品・備蓄品の確認です。最低でも、非常食や飲料水などの食料品、懐中電灯、モバイルバッテリー、救急用品などを用意しておきましょう。家族の人数や年齢、持病の有無によって必要な物は異なります。乳幼児や高齢者がいる家庭では、紙おむつや介護用品なども忘れずに備えてください。次に、家具の転倒防止対策を行いましょう。大きな地震では、家具の転倒や落下によるけがが多く報告されています。特に、寝室や子ども部屋にあるタンス、本棚、テレビなどの大きな家具は、壁にしっかりと金具等で固定して、場合によっては家具のレイアウトの見直しを行ってください。さらに、家族で避難場所と連絡手段を確認しておくことも重要です。災害発生時には電話がつながりにくくなることがありますので、災害用伝言ダイヤル(171)やSNSなど、複数の連絡手段を決めておくと安心です。

●持出品・備蓄品の確認
食料品は最低でも3日分、できれば1週間分程度用意しましょう。災害時に必要な食料品や消耗品を多めに買い置きし、日常的に消費、買い足ししながら備蓄する「ローリングストック」も効果的な方法です。
●家具の転倒防止対策
揺れにより、固定していない家具が移動したり、倒れたりすることがあります。家具が転倒すると、下敷きになり負傷したり、避難する際の障壁になるリスクがあります。金具で家具を固定したり、寝室やドア付近に家具を置かないよう配置を見直すことが大切です。
●防災会議
地震はいつ起こるか分かりません。家族で一緒にいるときもあれば、仕事や学校などバラバラで過ごしているときに発生することもあります。被災時の連絡方法や避難場所、「災害用伝言ダイヤル171」の使い方等を家族間で話し合い、共有しておくことが重要です。

[INFORMATION]
▽災害用伝言ダイヤル171
(録音)
171をダイヤルし、音声ガイダンスに従い操作

伝言を録音

(再生)
171をダイヤルし、音声ガイダンスに従い操作

相手の電話番号をダイヤル

録音された伝言が再生

▽災害用伝言板web171
災害時に電話ではなく、インターネットで利用できる伝言板です。文字で安否情報を登録・確認できます。
※二次元コードは本紙P.3をご覧ください。

[INTERVIEW]
石川県穴水町に1年間派遣
環境課 福島良介(ふくしまりょうすけ)
穴水町では主に被災家屋等の公費解体の受付事務に従事し、全国から同じように派遣されてきた職員とともに、復興に向けて業務に取り組んでいました。現地では被災された住民の方と直接やり取りする機会も多く、住民との距離の近さが印象に残っています。その中で、普段当たり前にある飲食店やスーパー、コンビニなどのお店が被災直後は営業しておらず、食料品の確保に苦労した、という話を伺いました。その話を通して、改めて常日頃から災害へ備えておくことの重要性を強く感じました。災害はいつ起こるか分かりません。皆さんも改めて自宅の備蓄品等を確認してみてください。