文化 御浜町文化財だより Vol.6

■奈良朝時代の役所跡
奈良時代(710年~794年)の末頃、悪人たちが尾呂志の地を略奪し、現在の上野地区に役所を設けたと言われています。悪人たちには3人の頭取がいて、それぞれ上野・栗須・川瀬地区に住み、地区の人々に対し長年にわたり重税を納めさせ、また農作物を略奪して支配していたため、人々は大変苦しんだといいます。悪人たちの支配に耐え切れず逃げ出す人もおり、その逃げ出した人たちが横垣峠のふもとに住み着き、土地が開かれ、阪本集落になったとのことです。
その後、淳和(じゅんな)天皇の頃(824年)、京都から多くの手下を従えた落人(おちうど)(戦いに敗れ逃げてきた人)がこの地に来て役所の悪人たちを打ち倒し、代わって尾呂志を支配することとなりました。
この落人は、今までの苦しみから人々を救い、大層尊敬されたといいます。そして、人々が苦しまないように税を納めなくてもよい荘園(しょうえん)(有力者が所有した私有地)をつくり、清和(せいわ)天皇の頃(859年)までこの地を支配していました。
悪人たちの役所があったと言われる上野地区には、現在も役所(やくそ)という小字が残っており、役所跡とされる場所には石垣や階段が今に伝わっています。

文:御浜町文化財調査委員 辻(つじ)頼人(よりと)