- 発行日 :
- 自治体名 : 滋賀県甲賀市
- 広報紙名 : 広報こうか 2026年2月1日号
◆人生を刻む 陶のかたち
陶芸家 伊野(いの)キミエさん(日系ブラジル人)
滋賀県立陶芸の森のAIR※プログラムで信楽に滞在し、カッターナイフの刃で陶土に繊細な模様を刻む独自の技法で作品を生み出す伊野キミエさんに、作品に込めた思いや日々の暮らしについて伺いました。
※AIR(アーティスト・イン・レジデンス)…アーティストが特定の場所で創作活動を行い、地域と交流するプログラム
◇陶芸を始めたきっかけは?
故郷のブラジルで会社勤めをしていた頃に、ろくろ講座に参加したことがきっかけです。制作に向き合ううちに、時間を忘れるほど夢中になりました。続けているうちに「このまま陶芸をしたい!」という気持ちが強くなり、日本に行くことを決めました。
◇作品を創るうえで大切にしていることは?
「時間」です。手間と時間をかけて向き合った分だけ、作品には自然と愛着が生まれると感じています。効率よく仕上げることよりも、あえて手作業で刻むことに意味があると思っています。時間を重ねることで、作品は単なる「物」ではなく、自分の記憶や感情を映し出す存在になっていきます。人生そのものが時間の積み重ねだからこそ、その時間が刻まれた作品は、見る人の心にも残ると考えています。
◇信楽で過ごして感じたことを教えてください
都市の喧騒の中で暮らしていたブラジルとは違い、信楽には、夜になると音がすっと消えるような静けさがあります。その静かな時間が、作品づくりに深く集中するための大切な余白となっています。自然に囲まれながら陶芸と向き合えるこの環境は、今の私にとって、かけがえのない場所です。
陶芸の森は見学もできるので、ぜひ遊びに来てください。
