くらし 市長対談 舞鶴、そして 京都北部の未来に向けて

舞鶴市は豊かな自然に恵まれ、美しい海に面した港湾都市です。この地で活動する「株式会社舞鶴21」は京都舞鶴港の振興支援や地域経済の活性化を担う企業として、今年設立30周年を迎えます。この節目の年を記念し、令和5年に社長に就任された材木正己氏と舞鶴市長が、特別対談を行いました。

舞鶴市長 鴨田 秋津
株式会社舞鶴21 代表取締役社長 材木 正己 氏

市長
このたびは、株式会社舞鶴21(以下「舞鶴21」)の設立30周年おめでとうございます。舞鶴21は舞鶴港の港湾振興に向けた重要な役割を担う企業ですが、材木社長がその代表取締役社長をお受けになった一番の理由は何ですか。

材木社長(以下「社長」)
私は、舞鶴で生まれ育ち、地元の舞鶴高専を卒業しました。その後、綾部市にある日東精工株式会社(以下「日東精工」)に入社し、現在は代表取締役会長兼CEOとして働いています。仕事柄、海外出張も多く、さまざまな都市に出向きますが、故郷の舞鶴市は特別な存在です。この地元への恩返しをしたいという強い思いが、社長職をお受けした理由の一つです。

市長
舞鶴21の事業内容をお聞かせください。

社長
設立当初から「貿易を通じた国際的な発展を目指し、舞鶴港を中心とした経済や地元の発展、成長」を掲げていました。主な業務としては、オフィスや物流倉庫の管理・運営を行っ
ているほか、最近では、クルーズ船の入港時に旅客ターミナルである京都舞鶴港うみとびら(以下「うみとびら」)における寄港の受け入れ業務に携わらせていただいています。

市長
日本を代表する企業である日東精工で培われた経験や知識を舞鶴21でも発揮しておられるかと思います。具体的にどのようなことに注力しておられますか。

社長
どんな企業にとっても財務体質の安定こそがゆるぎない経営の基盤となります。実は、私が就任する以前は赤字経営が続いていました。就任後、前例踏襲主義の廃止による事業の見直しや徹底した無駄な費用の削減、改革のスピードアップなどに取り組み、黒字に転換できました。

市長
材木社長が社長に就任された時期は私が市長に就任した時期とほぼ同じでした。その直後から、次々に改革を打ち出されているのを拝見し、感銘を受けています。おっしゃるように、前例踏襲主義がまん延している状況は、市政運営でも同様の課題を抱えています。人口が減少する中で、従来と同じことを続けていては、仕事量は増えるばかりで結果は伴いません。社長の「スピード感を持って改革を進める」という姿勢から、我々も学ぶべき点が非常に多いと感じています。

社長
舞鶴港は、人流・物流の拠点として、まだまだ大きな可能性と伸びしろを秘めていると思います。これは、舞鶴の財産であると同時に日本の財産といっても過言ではなく、この貴重な資源を最大限に活用しない手はないんです。舞鶴21での仕事をしながら、港湾の発展と連動した経済の発展に貢献できることを目指しております。

市長
古代より海と共に発展してきた舞鶴にとって、北近畿で唯一の重要港湾である舞鶴港は、地域の宝であり、太平洋側のリダンダンシー機能も踏まえれば、日本の国益に資する港です。舞鶴21は、その舞鶴港のポテンシャルを引き出すため、人流・物流を伸ばしていく上で、どのような取り組みができるとお考えですか。

社長
人流の面では、うみとびらや周辺緑地を積極的に活用したにぎわい創出の取り組みが考えられます。

市長
先日実施された「京都舞鶴ベイサイドフェスタ×ブルーフェスタ2025」は、昨年までは第3ふ頭に人が集中していましたが、今年は両イベントを一体的に開催することで、会場全体への流れをつくり出しました。その結果、うみとびら周辺では高校生による吹奏楽の発表やさまざまな展示が行われ、大野辺緑地ではキッチンカーが多数出店するなど、大変なにぎわいを見せました。舞鶴21としても、港周辺のにぎわいづくりに今後さらに貢献できると思っています。

社長
日東精工では、絶対に勝つべき勝負をするために、まず同業他社の情報を全て調べ尽くすことを徹底しています。このことは、舞鶴21の運営にもいえることで、舞鶴港の潜在能力を引き出すために、まずは「港の分析」が何より大切だと思います。

市長
現在、市や府が保有するデータに加え、別の視点の調査も大切だと考えます。今後、南海トラフ地震が極めて高い確率で発生すると予想されており、太平洋側の被害が甚大化することを想定すると、舞鶴港は代替ルートとして、物流の面で重要な役割を担うと考えられます。このような状況で、北東アジアと関西経済圏の間に位置する舞鶴港は、国家的な視点を持って港湾の機能強化と活用に取り組む必要があります。

社長
特に、舞鶴港の国際物流ターミナルの整備が進めば、大型船舶や多様な貨物船への対応が可能となり、その機能は格段に強化されます。今後は、ベトナムやインド、インドネシアをはじめとするグローバルサウス諸国との連携強化も視野に入れ、舞鶴港が日本海側の輸出入の玄関口として主要な役割を果たしていくことに期待しています。

市長
今後舞鶴21が、ますますの発展を遂げていくために、どんな取り組みが重要だとお考えですか。

社長
舞鶴、そして京都北部の発展に寄与することが舞鶴21の発展につながると考えています。そのためにさまざまな事業が考えられますが、その前提として、黒字経営を維持することが大切です。舞鶴21ビルの中では、会議室の貸し出しも行っていますので、ぜひ利用して下さい。

市長
白を基調としたオフィスで、窓から見るすがすがしい舞鶴湾の景色は、心が癒やされるので多くの人に利用してほしいですね。

社長
そして、港や地域の発展に貢献できるよう、未来への「種まき」をしていき、会社の成長に向けて頑張っていきたいと思います。

市長
今後の舞鶴21の活躍に期待しています。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

社長
こちらこそありがとうございました。

※リダンダンシー機能…災害などで一部の輸送ルートが途絶えても、代替ルートで輸出入を続けられるようにすること

担当:みなと振興・国際交流課