文化 〔特集〕アーティスト≒ヘンタイ

■[城跡芸術展 特別企画]あなたの知らないアーティストの素顔
日時:10/11~26 城跡芸術展 開催
※観覧無料
場所:丹波亀山城跡(大本本部)

「芸術」と聞いて、少し身構えていませんか?難しそう、よくわからない…そんなふうに感じる人もいるかもしれません。でも、城跡芸術展のアーティストたちは、私たちと同じように日常を送り、身近なものからインスピレーションを得ています。今回は、参加作家のうち2つのユニットをピックアップ。彼らの知られざる「素顔」をのぞいてみましょう!

◆ユニット 副産物産店
◇身近な素材で驚きを
彼らは、ものづくりの現場から集めた廃材などを「副産物」と呼び、作品の素材にするユニット「副産物産店」。木工用ボンドが固まった塊も作品の一部になることも。「ゴミ」から「宝」へ。拾い集めた副産物が、彼らの手で新たなアートに生まれ変わります。

◇計画はナシ? 現場で生まれる化学反応
もともとは“彫刻”が専門の矢津さんと“舞台や映画”がベースの山田さんが互いの違いをすり合わせ、誰も予測できない「形」を即興で生み出します。

◇リアルすぎる日常
京都市内で大学の講義を終えたあと、亀岡への移動中、打ち合わせはコンビニのおにぎりを食べながら。忙しい毎日を送る、「普通」の人です。物を拾うのが大好きな山田さんは各地の川で石を拾ったり、矢津さんは自宅の食器棚などをDIYで作るのが趣味。

◇「アーティスト」たちからのメッセージ
「アートは“驚き”だと思う」彼らが目指すのは、誰も見たことのないもの、まだ体験したことのない驚き。「理解しようとしなくていい。見たこともないもの、理解できないことを楽しむ。それがアートの魅力なんです」。彼らは言います、「“ヘンタイ”が世界を切り替えてきた」。人が「美しい」と感じること、「すごい」と感じるメロディなど、新しい価値観を常に更新しようとしてきたのが芸術の歴史。亀岡で活動する彼らも、まさにその歴史を動かす「ヘンタイ」たちなのです。

山田 毅(やまだ つよし)さん(蒐集家/城跡芸術展ディレクター)
矢津 吉隆(やづ よしたか)さん(美術家/城跡芸術展ディレクター)
※詳しくは本紙をご覧ください。

副産物産店は、ものづくりの現場から排出される副産物を収集し、即興的なブリコラージュで作品や空間を構成するアーティストユニット。芸術資源の循環や教育の可能性についても研究・実践を続けている。

◆ユニット WONG Chung Wah + FOK Chingさん
◇普段は亀岡市の職員
市役所の職員でありながら、アートの世界でその才能を輝かせる人物がいます。彼の名は、WONG Chung Wahさん。通称、ケルビン。
普段は市役所の文化芸術課に勤務し、人々が芸術と出会う場所を創り出す「かめおか霧の芸術祭」に尽力しています。その活動は多岐にわたり、通訳としても活躍。言葉の壁を越え、文化と文化をつなぐ架け橋となっています。
しかし、彼の顔はそれだけではありません。勤務時間外になると、彼は一人のアーティストへ。日常の営みをアートと捉え、人々も参加できる創作活動に没頭するのです。

◇はんこで描く参加型アート
FOK Chingさんもアーティストで、版画技法の新たな使い方と受け手との交流を試みています。彼らが今回行うアートは、亀山城跡や市内のまち中にある「石」が主役で、版画の技法で石の形をトレースしてはんこを作成。そして来場者がはんこを押して作る参加型のアート作品を制作しています。通勤路や堀沿いの石垣も、彼らにとっては作品の素材。「毎日通る道」にもアートの種が。

◇「アーティスト」たちからのメッセージ
「亀岡の石には物語が宿ります。城跡芸術展では、不思議な体験を楽しみ、誰もがアーティストになる喜びを感じてほしいです」芸術とは、実は私たちのすぐ隣にあるのかもしれません。彼らの作品を通じて、普段見過ごしがちな身近なものや日常の中に潜む“知らなかった視点”に気付く面白さを、城跡芸術展でぜひ体感してください。

WONG Chung Wahさん(デザイナー/アーティスト)
FOK Chingさん(版画アーティスト)
※詳しくは本紙をご覧ください。
瀬戸内国際芸術2019から始め、領域横断の媒介と展示手法を用い、日常の営みをアートと捉え、人々が芸術に出会う場をつくっている。