くらし 安全・安心な生活と快適な暮らしを支える水道を目指して vol.3

市の水道事業では将来にわたり、皆さんに安全・安心な水をお届けできるよう日々努めています。皆さんに水道のことをもっとよく知っていただくために、水道事業の取り組みをシリーズでお伝えしています。今回は水道事業会計の令和6年度の決算の概要についてお知らせします。

■水道事業会計
収益的収支:税抜 水道水を作ったり、管路や施設の維持管理をするための収支

▽収入
水道料金は給水人口の減少などで前年度と比べて69万円減の12億430万円となり、長期前受金戻入4億9,313万円などを合わせ、合計は18億2,474万円でした。
▽支出
施設の維持管理費や受水費、減価償却費、人件費などの経費は、老朽化に伴う施設や管路の更新需要の増加や物価高騰・労務単価上昇の影響などにより、前年度と比べて3,586万円増の17億8,657万円でした。
▽まとめ
令和6年度は消費税の修正申告に伴う還付金の臨時的に大きな収入があったことで、3,817万円の黒字となっていますが、還付金などを除いた経常損益は988万円の赤字でした。

資本的収支:税込 施設や管路の更新などをおこなうための収支

▽収入
新規契約による加入金5,436万円や開発行為による分担金3,742万円のほか、他会計出資金などの合計1億2,497万円でした。
▽支出
浄水場・配水池や管路の更新などの建設改良費3億6,719万円、企業債償還金9,764万円で、合計4億6,483万円でした。現在、令和8年度完了予定で山城浄水場の更新を進めていますが、今後は吐師受水場・観音寺浄水場の更新など、引き続き大規模事業をおこない、管路の更新ペースも上げていく計画をしているため、支出は増加していく予定です。

■財政調整基金 令和6年度末残高 28億8,265万円
財政調整基金(家計で例えると貯金)は、新水道ビジョンの投資計画に基づき、山城浄水場、吐師受水場、観音寺浄水場の更新など大規模事業の財源として、残高のほぼすべてを有効活用していきます。

■企業債 令和6年度末残高 14億8,256万円
企業債(家計で例えると借金)は、長期間にわたり使用する施設等更新の財源となるもので、その施設などを利用する将来世代を含めて負担を平準化する効果があります。今後は大規模事業が続くため企業債残高は増加する見込みですが、将来世代に過度な負担を先送りすることがないよう、事業費負担の平準化と世代間負担の公平性の確保とのバランスに配慮しながら、有効活用していきます。

ここで、水道事業の経営状況の分析に使われる代表的な指標を見てみましょう。

▽供給単価(水道料金/水の使用量)「1m³あたりの水道料金の収入」
水道料金は平成24年から改定していないため、ほぼ横ばいで推移しています。
人口減少などで水の使用量が少なくなり、水道料金も同様に減るため、料金の改定がない限り、今後も供給単価に大きな変化はありません。
▽給水原価(水を作る費用/水の使用量)「1m³あたりにかかるコスト」
令和元年度の154.0円に対し、令和6年度では、163.4円と大きく上昇しています。これは近年の物価高騰などによるコストの増加や老朽化に伴う施設や管路の更新需要の高まりなどが影響しているためで、今後もさらに上昇していくことが見込まれます。

料金回収率(供給単価/給水原価)「水を作る費用がどの程度水道料金でまかなえているのかの指標」

供給単価が横ばいであるのに対し、給水原価は増加傾向にあるため、料金回収率は低下し、水を作る費用を水道料金の収入で賄えておらず、経営状況はより厳しくなっていきます。水道事業を安定的に運営していくためには、将来を見据えてさらなる経営改善とコストに見合った水道料金へと見直し、最適化を図ることが必要です。

■水道事業の令和6年度の主な取り組み
▽木津川市新水道ビジョン(中間改定版)の策定
「安全・安心な生活と快適な暮らしを支える水道」を目指し、木津川市新水道ビジョン(計画期間:令和元~10年度、経営戦略:令和6~15年度)を令和6年9月に中間改定をおこないました。このビジョンに掲げた施策や事業を進め、将来にわたり安全な水を安定的かつ持続的に供給できるよう努めていきます。
▽木津川市水道料金及び公共下水道使用料審議会の開催
木津川市の上下水道事業を安定的に継続するため、水道料金及び公共下水道使用料のあり方や経営基盤強化について令和6年8月5日に諮問し、学識経験者、各種団体の代表、公募委員それぞれの立場から、審議していただきました。(令和6年度は3回開催)
※すでに令和7年8月に審議会より答申を受けています。
▽水道施設(浄水場、配水池など)の更新
施設の維持・機能向上を図るため、施設や機器の更新などをおこないました。
・山城浄水場更新工事…22億2,595万円(令和4~8年度)
・加茂地区水道施設機器更新工事…6,420万円
・木津中央配水池次亜生成装置電極等取替修繕工事…1,485万円
▽水道管路の更新
安全な水を供給し続けるため、老朽化した配水管の布設替工事などをおこないました。
・市道木300号ほか配給水管布設替工事 7,137万円
・市道加3066号ほか配給水管布設替工事 4,382万円
・市道山79号ほか配水管布設工事 1,788万円