健康 シリーズ 健康エッセイ vol.152

■人生会議ってなんですか?
和束町柳沢活道ヶ丘診療所 柳澤衛医師

ACP(アドバンス・ケア・プランニイング)の愛称です。「もしもの時のために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取り組み」のことです。高齢の方がふえ、団塊の世代が全員後期高齢者医療の対象となる時代を迎えました。平均寿命は女性87歳男性81歳なりました。自分で自分の医療をどのように受けるかを判断できる時代になりました。たとえが乱暴ですが「終活」「断捨離」の医療版と考えてもいいでしょう。高齢者が医療と介護の両方を必要とする状態が増え、たとえ病気になっても住み慣れた地域・自宅で自分の望む暮らしを続けられるように、自分を中心に医療・看護・介護の等の方々を含めて決めて、その人らしい暮らしを最後まで続ける事を目標にすることです。各個人で思いは全く異なりますからご自身を中心に決めなくてはなりません。
難しいのは自分の人生の最後を決めないといけないことです。これは超難問です。では、亡くなるときは無理ですが亡くなる場所を決めましょう。在宅診療、訪問看護、訪問介護がまだまだ十分ではありませんが在宅で終末医療受け入れることを助けてくれます。次に「延命治療」を考えましょう。意識状態が悪くなったとき、例えば脳血管疾患の時に、人工呼吸器を装着して、胃に穴を開けて栄養を取る胃瘻をつくるか。高齢で手術の危険が大きいけど、手術して病気とたたかうか。84歳で腎不全になり、透析治療を受け入れるか。麻薬を使ってもいいから痛みはのぞいてほしい。考え出すと設定条件が山ほどあり、混乱してきます。
人生会議は時間をかけて、人生の想いを込めて、何度も、何度も繰り返して作ってもいいんです。終活、断捨離を考えるときのように、ご自身の一番大事な事、しかも他人ではなく、自分の意見が一番優先される大事な事です。
一度人生会議をしてみましょう。