子育て シリーズ健康エッセイ vol.146

■乳児にうつると困るRSウイルスとヒトメタニューモウイルス
長井小児科医院長 井隆夫医師

RSウイルスとヒトメタニューモウイルスは親戚関係のウイルスで、ほぼ同じような性質ですが、ヒトメタニューモウイルスのほうがやや軽い症状です。
ほとんどのこどもが乳幼児期にかかり、保育園でしばしば流行します。保育園に通っていない乳児の場合は家族内感染が主です。免疫が長続きしないので、何度もかかります。年長児や大人でも罹患することがありますが、症状は軽く鼻風邪程度です。
厄介なのは、乳児がかかると熱、咳、喘鳴で全身状態が悪化して入院を要することがあります。また、RSウイルスは、きわめて稀に無呼吸発作をおこすことがあり、乳児にとっては怖い病気です。

▽症状
咳、くしゃみ、鼻水の飛沫感染。潜伏期は4~5日です。主に鼻水、咳など呼吸器症状と熱。
幼児は上気道、咳やのど・鼻の症状が主で、乳児は気管支炎としての症状が強く出ます。喘鳴や痰の絡む酷い咳がみられます。肺の症状がひどい場合は呼吸困難をきたすことがあります。
▽診断
流行状況や家族歴を聞き、診察すれば、かなりの確度で的確な診断は可能です。RSウイルスやヒトメタニューモウイルスかを確定するには迅速検査をします。
▽迅速検査
鼻水でのウイルスの迅速検査です。ありふれた病気なので検査なしで臨床診断は容易です。また、特効薬がないことから、早期に素早い検査は必須ではありませんが、次の場合には積極的にウイルスの迅速検査をして診断を確定します。
・乳児、とくに6か月未満児(重篤になりやすい)
・家族に乳児がいる場合(家族内感染防止)
・熱と咳が3日遷延するとき(ほかの原因の肺炎と鑑別)
▽治療
特効薬はなく対症療法にとどまります。症状は4~5日で軽快します。回復後も咳や喘鳴がながびくことがあります。こどもが重症化していないか注意深く経過をみましょう。
▽重症化の目安
・摂食や睡眠に支障でるほどの咳(きつい咳)
・喘鳴がある(息を吐くときにヒューヒュー)
・呼吸時に胸がベコンベコンと凹む(陥没呼吸)
・顔色不良・多呼吸(呼吸困難)
このようなときは早急に小児科を受診してください。