くらし 世界の脱炭素をリードする技術が堺に集結

地球環境を守る最先端技術が堺の臨海工業地帯に集まっていることをご存じですか。市北西部に広がるこのエリアでは、世界的に関心が高まっている「脱炭素」に貢献する技術や製品が開発されています。二酸化炭素(CO²)の排出を減らす取組の一部を紹介します。

■こんな未来が実現するかも!?
・ビルの壁一面が太陽電池に!?
・家にいながら農作物を収穫!?
・家畜のフンが燃料に!?
・少しの電気で長距離走行が可能に!?
・家庭で使った油が飛行機の燃料に!?
・CO²を出さない工場!?

■臨海工業地帯とは?
堺区と西区の沿岸部を埋め立てた工業地帯で、製鉄や石油化学、機械、エネルギーなど、さまざまな業種の工場が集まっています。
1950年代後半に造成が始まり、陸海空全てのアクセスに恵まれた工業地帯として国内外の産業を支えています。

■「環境と経済の好循環」で市の成長をめざします
革新的な環境技術の研究開発施設や生産拠点の整備など脱炭素に貢献する企業を、市は堺市イノベーション投資促進条例などの施策で積極的に支援しています。

■フィルム型ペロブスカイト太陽電池 積水ソーラーフィルム株式会社
◇薄い!軽い!曲がる!地球に優しい発電
1mm程度の薄さで、建物の壁や曲面などにも設置できる電池。その大規模な生産工場が2027年に稼働を始める予定です。最終的には年間で1GW(原発1基分相当)の生産をめざしています。

▽積水ソーラーフィルム株式会社 代表取締役社長 上脇太さん
この製品はローラーで印刷するように効率良く生産できる点も特長です。今後は体育館の屋根や高速道路の防音壁、駅や空港など、都市の至る所で発電できる時代が来ると思います。

■CO²を出さずに遠隔操作で動く農機 株式会社クボタ
◇人にも環境にも優しいスマート農業の未来
グローバル技術研究所では、CO²を出さない農機や遠隔から複数台の農機を制御するシステムなど、農業の未来を変える技術を開発しています。

▽株式会社クボタ 次世代技術研究ユニット 林洋祐さん
大阪・関西万博では水素で動く無人運転の「オートノマス水素燃料電池トラクタ」を展示し、多くの注目を集めました。将来、家でコントローラーを使いながらゲームをするように農業ができる時代が来るかもしれません。

■二酸化炭素分離膜モジュール UBE株式会社
◇ごみ・汚水から再生可能エネルギーを生み出す技術
廃棄物から出るガスの中から特定のガスだけを取り出す特殊な膜を生産しています。取り出したメタンを天然ガスの代替エネルギーとして利用することができます。

▽UBE株式会社 堺工場長 菰田倫久さん
大阪湾に面している臨海工業地帯は原料の輸入や製品の輸出に便利で、高速道路や空港が近いのも大きなメリットです。

■アンモニアバーナ 中外炉工業株式会社
◇CO2を出さない夢のアンモニア燃焼装置
燃やしてもCO²などの温室効果ガスを出さない、アンモニアを使った燃焼装置を開発しています。
火力発電所や製鉄工場などの工業炉への導入をめざしています。

▽中外炉工業株式会社 開発本部GXプロジェクト室 仲井和成さん
日本中の工業炉の燃料がアンモニアに代われば、約1億tのCO²を減らせると言われています。臨海工業地帯の立地を生かし、今後も脱炭素の実現に向けて開発を進めます。

■SAF コスモ石油株式会社
◇使用済みの食用油を航空燃料「SAF」へ クリーンな燃料で空を飛ぶ!
最新の技術を用いると、皆さんの家庭で使われた食用油から環境負荷の低い航空燃料のSAFを作ることができます。堺の臨海部に日本初の大規模SAF製造工場が完成しました。家庭や食品業界などで出る廃食用油で、航空機が飛ぶ世界を実現する、そんな革新的なプロジェクトが堺から始まっています。

市内21カ所に廃食用油の回収ボックスがあります

■無方向性電磁鋼板 日本製鉄株式会社
◇電気自動車のモータを進化させる魔法の板
自動車に対するCO²規制が高まる中、堺工場でエコカーのモータに使われる電磁鋼板の生産能力増強を進めています。エネルギー効率の高い電磁鋼板の活用によりモータ効率が向上し、走行時のCO²排出量削減を実現します。

▽日本製鉄株式会社 堺薄板工場電磁鋼板課長 長濱直哉さん
会社全体の製造プロセスで、脱炭素化に取り組んでいます。臨海工業地帯には私たちの関連企業が集まっており、グループとして効率的に活動できるメリットがあります。

問合せ:イノベーション投資促進室
【電話】228-7629
【FAX】228-8816