文化 おおつ物語

■時を越えて踊り継ぐ 泉大津の盆踊り(3) 大津おどり~新田開発の物語~
「カニ踊り」という別名を持つ「大津おどり」の歴史は、江戸時代の元禄年間(1688年~1703年)に、大津川河口で行われた大規模な新田開発にさかのぼります。
大津川河口に生息するハマガニやベンケイガニは、泥地に深い巣穴を掘る習性があります。せっかく造成した水田の畦(あぜ)に巣穴を開けて、畦が壊れてしまうことに困った人びとは多くのカニを駆除せざるを得ませんでした。このころは、将軍徳川綱吉による「生類憐(あわれ)みの令」が発令され、生き物の保護が命じられていた時代です。当時の社会で「生き物を大切にする」意識が広まっていたことも影響してか、人びとは駆除したカニの供養のため塚を築き、盆踊りを踊ったと伝わります。
ゆっくりとしたテンポで踊られる踊りの仕草にカニの動きがもとになったと伝わる振りがあり、歌詞に、元禄時代の流行や地域独特の言葉が含まれるなど、当時の様相を今に伝えています。
新田開発という歴史的な背景から生まれた大津おどりには、大事業を成し遂げた先人たちの物語が息づいています。
次回は「時を越えて踊り継ぐ 泉大津の盆踊り(4)〜REIWA盆ダンス~」です。

問合せ:生涯学習課