その他 市民登場 No.772

10月27日~11月9日は読書週間

絵本専門店ちいさな絵本ショップブックプランターを運営
中谷 章代さん

◆なかたに あきよ
大学卒業後、銀行勤務を経て、子育て支援のボランティアに携わる。NPO法人・えほんのお部屋ひまわり畑(香里ケ丘)の代表理事として一時保育や親子が集まる場を提供するほか、令和4年に絵本専門店・ブックプランターを宮之下町にオープン。図書館司書・保育士・絵本講師資格を持つ。63歳。

■心に大切な物語があればいつか自分を守り励ましてくれます
ハロウィーンや冬にはクリスマスなど季節の絵本が並ぶ店内に親子がふらりと訪れる。優しい声で話し掛け母親の質問に答えながらおすすめの絵本を提案する。「買ってくれた絵本がおすすめした本じゃない時の方がうれしいんです。お母さんが子どものことを考えて選ぶ本がいちばんですからね」とほほ笑む。
わが子3人の子育てをしながら、育児中の親を支援するNPOの事業にボランティアとして携わった。活動に奔走する中、親子が気軽に集まれる場を自ら作ろうと一時保育や親子で集まれる「えほんのお部屋ひまわり畑」を開室。絵本講師の知人から提供を受けた絵本を並べたことで絵本に興味を持ち始めたが、本来の魅力に気付いたのは親子の絆をテーマにした絵本『ラヴ・ユー・フォーエバー』との出会いだった。「わが子には読み聞かせをする時間もなかったんです。寂しい思いをさせてきたと後悔していた自分の子育てを肯定してもらえた気がして嗚咽が止まりませんでした」
自身の子育てで果たせなかった絵本を介した親子の時間を提供したいと、3年前に市内で珍しい絵本専門店をオープン。手頃な価格のリサイクル本の販売を中心にしているのは気軽に絵本を手にして欲しいとの思いからだ。「子どもたちには家で繰り返し読める自分だけの絵本を手にして欲しいんです。心に大切な物語が残れば、いつか自分を守り励ましてくれますから」。子と向き合う親にも、くつろぎ安心できる場になればと考えている。病弱な母親に代わって小学生の頃から家事をこなしてきた経験から「大丈夫?って誰かを気に掛けてしまうことが染みついているのかも」と笑う。
自ら作った子育て支援の場も絵本店もかつての利用者が今はボランティアスタッフとして支えてくれている。「今後も若いお母さんたちが活躍できる居場所の一つとして支えていきたいですし、何より多くの人に絵本を読みに来てほしいですね」