くらし あなたとともに~私の幸せ あなたの幸せ まちの幸せ〔42〕

■フォントは人と人とのコミュニケーションをはかるツール
片岡さんの曾祖父が遺した手記に記されていた文字は、ひと目で誰の字か分かるほど特徴のある右肩上がりの字体で、その筆跡には「曲がったことをしない」という信念が込められていた。そんな曾祖父の文字を後世に残せるように、手書き文字をフォント化するソフトを生み出した。誰でも手軽にフォントが作成できる仕組みは、年賀状や手紙など大切な人に思いを届ける人たちの心に寄り添っている。「フォントは自分らしさを表現し、コミュニケーションを育むもの」。その想いは今もなお根付き、フォントクリエイターの表現の幅を広げる一助となっている。

■朝来市をクリエイターの理想郷に
朝来市に帰郷した片岡さんは、地元で出会った若者とともに会社を立ち上げ、現在はリモートで世界中のクリエイターと仕事をしている。自社の取り組みを通じて、デジタルクリエイターやソフトウェア開発者が地方にいながら活躍できることを示す先行事例となり、夢を持つ若者たちが一歩を踏み出すきっかけになればと考えている。豊かな自然とあたたかな人々に囲まれ、穏やかに暮らせる朝来市に、同じ思いを持つ若い世代が集まることを願いながら、朝来市を拠点に地方の可能性を探求している。

片岡正(かたおかただし)さん(和田山新町)
片岡さんは、進学を機に京阪神や東京で暮らし、35歳のときに大阪でIT系のベンチャー企業を設立。サンプル文字をコンピュータに学習させ、書き手の文字の特長を生かした文字を生成するフォント制作ソフトを開発し、フォントクリエイターの作業効率化に大きく貢献した。退職後に故郷である朝来市に戻った後、2022年にコワーキングスペースHola!を拠点に、ウェブフォントジャパン(株)を設立。クリエイターとともに竹田城跡をイメージした竹田城跡フォントを作成するなど、フォントやITの側面から地方創生に貢献するため、積極的に活動している。
※今月号の表紙に竹田城跡フォントを使用しています
※詳しくは本紙をご覧ください。