健康 公立神崎総合病院のコーナー

■新型コロナワクチンの接種について
薬剤科 主任薬剤師 向井康真
2023年5月8日から新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染症法上の分類が『5類感染症』へ移行したことで、社会的な緊張が和らぎ、いかにも新型コロナの脅威が過ぎ去ったかのような雰囲気が世の中に漂っていますが、実際は、2024年度に約35,000人が新型コロナで死亡しており、同じ年度のインフルエンザの死亡者数が約3,000人である事と比較すると脅威が完全に去ったとは言えない状況です。
新型コロナの治療薬はいくつかあるのにワクチンを接種する必要があるのかとの疑問をもつ方々もいらっしゃるかもしれませんが、ワクチンを接種するメリットとして、(1)感染・発症予防の効果、(2)万が一、発症したとしても重症化の軽減、(3)クラスターの防止などが挙げられます。
現在、新型コロナワクチンの接種は以前のように無料でなくなった事もあり、接種率は顕著に低下しています。年齢が若く重症化リスクの低い方々は、新型コロナワクチンを接種する恩恵は少ない事も指摘されていますが、高齢者や重症化リスクの高い基礎疾患をもつ方々は積極的な接種が推奨されていますので、該当される方は、ぜひ一度、かかりつけ医や当院、役所にご相談の上、定期的な接種をご検討下さい。

(参考資料)
・2024年度厚生労働省人口動態統計の概況・死因簡単分類別死亡数・死亡率
・厚生労働省 新型コロナワクチンの有効性・安全性について
・新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第10.1版

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