文化 いにしえの風 斑鳩文化財センターだより

■秋季特別展「龍田城-片桐且元(かたぎりかつもと)が築いた城-」
斑鳩文化財センターでは、現在令和7年度秋季特別展「龍田城-片桐且元が築いた城-」を開催中です。
今月号では、その見どころを紹介します。

◇片桐且元の肖像画
肖像画は且元の十三回忌の際に描かれたもので、慈光院(じこういん)(大和郡山市小泉町)に伝わったものです。慈光院は、且元の弟の貞隆(さだたか)を祖とする「小泉藩片桐家」の菩提寺(ぼだいじ)です。且元の「龍田藩片桐家」は6代目で途絶えたため、肖像画は、且元の位牌(いはい)と共に慈光院に伝わりました。今回展示しているものはその複製品ですが、在りし日の且元の姿を想像することができます。

◇片桐且元の書状
今回の特別展では、且元が家臣に土地を与えたことを記した書状や、豊臣秀吉亡き後、その子の秀頼(ひでより)に仕え、豊臣家の家老(かろう)として働いていたことを示す書状、また、且元の弟の貞隆の書状を展示しています。さらに、今年に入って町内の個人のお宅から片桐且元の書状が発見されました。文中には法隆寺の名も記されているなど貴重なもので、今回はその書状も初公開しています。

◇龍田城跡の発掘調査の出土品
城の中心付近の発掘調査では、石組井戸(いしぐみいど)や柱列(はしられつ)などが見つかっています。一方、城の南東部では、いかるがパークウェイの建設に伴う調査で、屋敷地に関連する遺構が見つかっています。
今回は、当時の生活の一端をうかがえるような瓦や茶碗、皿などの出土品を展示しています。

◇奈良県内の同時代の城
令和8年の大河ドラマ主役の豊臣秀長(ひでなが)が百万石の領主の居城(きょじょう)として整備した郡山城(大和郡山市)や日本三大山城の一つである高取城(たかとりじょう)(高取町)、その高取城とともに豊臣政権下で大和国(やまとのくに)(奈良県)を治めるための重要な城であった宇陀松山城(うだまつやまじょう)(宇陀市)、戦国時代に松永久秀(まつながひさひで)が大和支配の拠点とした信貴山城(しぎさんじょう)(平群町(へぐりちょう))などからの出土品をはじめ、絵図面などを展示しています。

◇龍田城跡スポットラリー
実際に龍田城が存在したことを実感してもらおうと、現地に残る龍田城の痕跡をめぐるスポットラリーを、展示会期間中に開催しています。
「スポット」の詳細は、斑鳩文化財センターとホームページで公開しています。すべてのスポットをめぐった写真を斑鳩文化財センターで提示していただくと、「オリジナル御城印(ごじょういん)」をプレゼントします。(入館者に限ります)

問合せ:地域振興課(斑鳩文化財センター)
【電話】0745-70-1200