子育て 特集 三宅町ユースセンター~10代にとっての“サードプレイス”づくりの現在と未来~(1)

皆さんは「三宅町ユースセンター」をご存じですか?現在三宅町では、「10代が必要なタイミングで、あらゆる居場所・関係性があるまちへ」をスローガンに、三宅町ユースセンター(YC)プロジェクトとして、10代にとっての第三の居場所・第三の関係性づくりを行っています。その一環として、町内に中高生世代が集うスペースを設けたり、中高生世代に向けたイベントを開催中。今号では、その取り組みと、そこに集うスタッフや利用者の想いを取材しました。

○三宅町ユースセンターってどんなところ?
近年、「第三の居場所(サードプレイス)」という言葉が市民権を得るようになってきました。元々はアメリカの社会学者レイ・オルデンバーグが提唱した言葉で、自宅や職場とは異なる、とびきり居心地の良い場所のことを指します。三宅町YCが掲げる「10代にとっての第三の居場所」とは、「家でも学校でもない居場所」。ここでいう居場所は、単に物理的な場所を指すのではなく、「自分はここにいていいんだな」「自分は大切にされているな」「なんだか元気が湧いてくるな」など、それぞれが心地よく過ごせる場所や関係性のことを捉えているそうです。特別なハコモノだけにとらわれず、町内のあらゆるところに浸透する、文化や空気のようになれたら…というのが、三宅町YCの基本理念です。
同プロジェクトは、現在プロジェクトリーダーをつとめる山本紗哉加さんが地域おこし協力隊員として着任した2023年5月に本格的にスタートしました。最初はヒアリングのために町中を歩きまわっていたという山本さん。当初は建物としてのユースセンターを作ることを意識していたそうですが、イベントなどを通して子どもたちと対話を続ける中、建物や場所にこだわるるのではなく、「子どもが集える場所をまずはつくる」ことにシフトしていったそうで、24年1月には、MiiMoの3階にある子育て世代包括支援センター「スマイル」の場所を借りて、場所を固定したユースセンター定期開室がスタートしました。
その後は石見駅前などに出張で場所を構えて、学校帰りの高校生などに会いに行く企画である「TEENS BASE」(※現在は他企画と統合)や、移動式の屋台を用いて、ユースワーカーがMiiMoに来ることのできない10代に出会いに行く「MICHIKUSA STAND」などを次々とオープン。町全体を使った多様なフィールドで活動しているのも三宅町YCの特徴です。山本さんは「三宅には中学校が1つしかなくて、ユースセンターにも、どうしても学校の人間関係が続いてしまう。だからこそいろんな場所を設けるのが大事かなと。あとは〝来る〞のを待つだけでなく、こっちから〝行く〞、とりあえず繋がるというのを意識しています」と、その理由を教えてくれました。
25年1月には、新たにプロジェクトメンバーとして横田健人さんと石井一輝さんも加わりました。3人の常駐スタッフに、理念に共感した大学生スタッフが加わり運営されているユースセンターでは、多岐にわたるイベントも実施しています。過去にはNPO法人ASKと共に開催したスケボー体験会や畿央大学手話サークルとのコラボなども実施。引き続き大学のサークルには売り込みするなど、〝外〞の大人と繋がるような企画も行っています。

○「ユースセンターがなくなればいい」
徐々に規模や内容をスケールアップさせてきた三宅町YCですが、横田さんは「自分たちでは場所的にも空間的にも限界がある。(ユースセンタースタッフ以外の大人との関わりなど)斜めのつながりが、まちの中に増えていく仕掛けをしていかないといけない」と課題感を口にします。またMiiMoのコワーキングスペースで学習イベントなどを実施してきた石井さんは「勉強だけに限らず、子どもたちの可能性を広げられる場所にしていきたい」と、今後の夢を語ってくれました。
「いずれユースセンターがなくなればいい」と言い切ったのは山本さん。「それって本来は健全なことではないですよね。属人的な形でセンターを運営するのではなく、それが文化や空気になっていけばいい」と理想の形を語る山本さん。子どもにとってのサードプレイスになり得る場所が町のいろんな所にあって、いろんな大人がユースワーカーとして子どもたちを見守っている…そんな理想の三宅町にしていくために、ユースセンタースタッフたちは今日も子どもたちと向き合い続けています。

■ユースセンターの色んな活動フィールドを紹介
○ユースセンター
MiiMo3階「スマイル」や地域おこし協力隊が古民家の蔵をリノベーションして作った「多目的処みゃあ」などを利用して定期的に開館。10代だけが使えるユースの拠点であり、必ずユースワーカーと話せる場所でもある
スタッフの一言メモ:スマイルにはゲームがたくさん。多目的処は秘密基地感もあり、卓球台もあります

○TEENS BASE
石見や但馬の駅前で開館する出張広場。学校帰りの高校生を中心に、買い物帰りの近所の人や仕事終わりの大人も立ち寄っておしゃべりができる高校生も大人も、無事にまちに帰ってきたことを感じられる場所だった
スタッフの一言メモ:現在はMICHIKUSA STANDに統合。ここでしか出会えない子にも会えた貴重な場でした

○MICHIKUSA STAND
町内を自由に動き回る移動式の屋台。ユースワーカーが、MiiMoに来ることのできない10代にも出会いに“行く”場でもある。屋台を目印に、10代と近所の大人が交流できる場
スタッフの一言メモ:屋台は地域おこし協力隊スタッフと子どもたちが共同で作った手作りの逸品です!

○スポーツDAY
サッカー・バレー・バスケなどの球技や、卓球・バドミントンなどのラケット競技など、広いスペースで一緒に運動する定期イベント。主に三宅町体育館で開催している
スタッフの一言メモ:いつもとは違う意外な一面が見られるのも魅力。一緒に汗をかくのはいいですね

○Co-learning Café
MiiMo1階のコワーキングカフェなどで開催される10代限定のゆるやかな学びの場。参加者がそれぞれのペースで学習を進めることができる
スタッフの一言メモ:図書館閉館の19時以降も開催しているので、家で勉強できない人もぜひ使ってみて