- 発行日 :
- 自治体名 : 奈良県吉野町
- 広報紙名 : 広報よしの 2025年8月号 No.1041
◆膵臓がん
膵臓は、胃の後ろにあり、幅3~4cm、長さ15cmぐらいの細長い臓器で2つの働きをしています。食べ物の消化を助ける消化液である膵液を出し、膵管を通じて十二指腸に排出する機能と、血糖を調節するインスリンなどの各種ホルモンを作る機能があります。
膵臓にできる膵臓がんは、主に膵管から発生しますが、大きさが小さい時では症状が出にくく、また小さくても転移しやすいため、進行した状態で見つかることが多い、予後の悪い怖いがんとして知られています。膵臓がんは近年増加傾向にあり、年間約4万5000人の方が膵臓がんと診断されていて、これは約3000人に1人が膵臓がんになるという頻度です。
がんが膵臓内にとどまり、かつリンパ節への転移がない病期のステージIでは、5年生存率は約40~60%です。しかし約半数の方が進行転移した状態であるステージIVで診断され、5年生存率はわずか1%台であるため、がんの早期発見がとても重要です。膵臓がんは、特定の自覚症状がないため早期発見が難しい病気で、進行すると、食欲不振、お腹が張る感じ、腹痛・背中の痛み、黄疸、体重減少などが起こり、糖尿病の血糖値が悪化して診断されることもあります。
診断は、膵酵素、腫瘍マーカーを含む血液検査、超音波検査、内視鏡・画像検査で診断しますが、最初の画像検査は体への負担の少ない腹部超音波が有用です。膵臓がんになりやすい危険因子は、50歳以上・肥満・喫煙・大量飲酒・糖尿病・膵臓がんの家族歴・慢性膵炎・膵のう胞などがあり注意が必要で、危険因子を持つ方も含め、膵臓がんの早期発見のためには定期的に検査をすることが重要です。
奈良県医師会