健康 診療所からこんにちは

第5回:ドライアイについて

冬になると空気が乾燥し、目の乾燥を感じる方もいるのではないでしょうか。
今回は、身近でありながら見落とされやすい「ドライアイ」と、その大きな原因である「マイボーム腺機能不全(MGD)」についてお話しします。

(1)ドライアイとは
涙は「水分」「油分(脂質)」「ムチン」から構成されています。このバランスが崩れるとすぐに涙が蒸発したり、角膜が傷つきやすくなります。ドライアイは、涙の量の不足や質の悪化(油の量の不足)で目の表面が乾燥し、「目の乾き」「ゴロゴロ感」などのさまざまな症状を引き起こします。
ドライアイがひどい場合はQOL(生活の質)が低下します。
仕事や趣味の能率が低下することや、うつ病との関連が指摘されています。
ドライアイを見分ける簡単なセルフチェックとして瞬きを10秒我慢する方法があります。10秒我慢できない方はドライアイの疑いがあります。

(2)マイボーム腺機能不全(MGD)とは
まぶたの縁には「マイボーム腺」という油を分泌する器官があります。
この油は涙の表面を覆い、涙が蒸発するのを防ぐ大切な役割を担っています。
しかし、様々な原因によりマイボーム腺が詰まり、油が固くなって出にくくなると、涙の蒸発が進みドライアイが悪化します。これをマイボーム腺機能不全(MGD)といいます。最近の研究でMGDはドライアイ全体の原因の8割を占めることが明らかになりました。MGDによるドライアイは、点眼薬では症状が改善しない場合が多いといわれています。
MGDが起きると「目の乾燥が強くなる・まぶたの縁がベタつく・寝起きに症状が強く出る・ものもらいになりやすい」といった症状が見られます。

(3)MGDになりやすい危険因子
次に該当する方はMGDになりやすい方です。
・脂質異常症(コレステロールが高い方)
・アイメイクをまぶたの際に塗る方(マイボーム腺の出口が塞がります)
・コンタクトレンズ長期常用者(マイボーム腺が物理的にダメージを受け、減少します)
・パソコン、スマホを長時間使用している方。(無意識にまばたきの回数が減ります)
・高齢者(加齢とともにマイボーム腺の機能が低下します)

(4)ドライアイ・MGDの治療
治療は、症状の原因と重症度に合わせて行います。代表的なものは以下の通りです。

◎点眼治療
・涙を補う人工涙液
・涙の質を改善する点眼薬
・炎症が強い場合の抗炎症薬

◎温罨法(おんあんぽう)(温める治療)
MGDの基本治療です。清潔な蒸しタオルを40℃前後で5〜10分1日2回まぶたに当て、固まった油を柔らかくし、油の排出を促します。

◎まぶたの清拭
まぶたの縁を清潔に保つことで、マイボーム腺の詰まりを改善します。
ドライアイ・MGDは現時点では完治できない病気です。そのため、生活の工夫で予防し悪化させないことが大切です。

(5)日常生活で気をつけたいこと
・エアコンの風が直接当たらないようにし、使用の際は加湿器を併用する。
・画面を見るときは「まばたき」を意識する。こまめに休憩をとる。
・コンタクトレンズは無理に長時間使わない。帰宅後はすぐに外す。
・アイメイクやまつげケアを行う方は清潔を保つ。

(6)こんな症状は眼科受診を
・目の痛みが強い
・まぶたの腫れが続く
・視界のかすみが改善しない
・市販の点眼薬を使っても良くならない

ドライアイと思っていても、実は角膜炎や結膜炎、白内障・緑内障が隠れていることもあります。
また、シェーグレン症候群など全身疾患の影響でドライアイを発症していることもあります。
気になる症状がある場合は、早めの眼科受診をおすすめします。

下北山村診療所
船迫 哲也