文化 高野山の伝統文化 5

日本仏教の聖地「金剛峯寺」のお坊さんのおはなし

◆御斎(おとき)について
今回も高野山の伝統文化として引き続き御斎にまつわる内容をお話しいたします。
前回は御斎に伴う法会儀式について簡単に触れてまいりましたが、次の見どころを紹介させていただきます。
さて、法会儀式が終わり亭主から「御斎を差し上げます」と一言ありました後、会場の広間へ移ります。全員が着座すれば亭主の指示の元、【見膳(みつくろ)い】と呼ばれる給仕人の統率者を筆頭に配膳からはじまります。
御斎の作法は本式ですと、全員に対して本膳から順番に配膳することになっていますが、近年は略式になってきているため最高位の僧侶を除き、参の膳まで据膳(すえぜん)(各席に並べてある)とする場合が多くなってきております。
また、最高位の僧侶に対しては朱塗りのお膳を用いるしきたりになっており、略式であっても必ず御一人様ずつ配膳いたします。
方法としては、給仕人が朱塗りのお膳を亭主へ取り次ぎ、亭主が、上座に座っておられる前官(ぜんがん)または法印(ほういん)と称される最高位の僧侶へ配膳します。
最初である本膳の配膳は「足捌き」を行います。
以後、飲み物や、その他の食事などを運ぶ際には「足捌(あしさば)き」は省きます。

短い期間執筆させていただき、また記事の途中ではございますが、次回より新しい担当者へ交代することとなりました。拙い文章と知識でしたが、お愉しみいただけていたならば幸いでございます。またいずれ時が廻り合わせましたなら、その際は宜しくお願いいたします。ありがとうございました。

金剛峯寺職員仮名許乞児 合掌

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