くらし 南部町のいきものたち(225)

■アメリカヒドリ
◇アメリカンなカモ
2024年12月16日のこと。歯医者さんからの帰り道に、法勝寺川を見ながら家に向かっていました。いつもカモの仲間がたたずんでいる堰でも、アオサギやヒドリガモたちがくつろいでいます。その鳥たちの中に「あれ?」と何やら違和感を覚えるカモが1羽、嘴を背中の羽毛に埋めて寝ていました。「ちょ、ちょっと待って。あのコってアメヒじゃない⁉」。慌ててベストの内ポケットから双眼鏡を取り出しました。ヒドリガモは茶髪に前髪が金髪の模様ですが、怪しいカモは目の周りが緑色で白髪頭です。ピントが合うと、昔、関東在住時代に1、2度観察した記憶が思い出されました。アメリカヒドリ、略してアメヒ。これは夫に連絡しなければと、大急ぎで電話をすることに。

◇珍しく純粋な個体!
20分後、たまたま仕事が休みだった夫は、望遠レンズを抱えて駆けつけました。発見当時においては、南部町の鳥を21年見てきましたが、我が家にとってアメリカヒドリは町内初確認。しかも、ヒドリガモとの交雑種が多く見受けられる中で、今回町内に飛来した個体は純粋なアメリカヒドリのオスであると思われます。様子をうかがっていたら、眠っていたアメヒは目を覚まし、その表情を見せてくれました。名の通り主な生息域は北米から中米ですが、稀にカムチャッカから日本へ南下するようです。米子水鳥公園でも数年に1回ほど飛来が確認されていますが、雑種率が高いとのこと。そのうち雑種から新しい種なる道もあるかもしれませんね。

◇リアルタイムは場所秘密
アメリカヒドリも、熱心な野鳥カメラマンが集まることがある鳥です。この時、南部町にやってきた個体は2025年1月6日が桐原家での町内観察記録の終認となりました。1年過ぎての情報公開となりましたが、野鳥公園などを除き、見慣れない鳥を観察された時は、珍しいものほど情報を広げない配慮が大切です。珍鳥迷鳥における飛来滞在中のリアルタイム情報は安易に拡散しないようにしましょう。迷ったら専門家にご相談ください。今年の冬も、もしかしたら珍客が南部町の川にやってくるかもしれませんよ。

自然観察指導員 桐原真希