- 発行日 :
- 自治体名 : 島根県雲南市
- 広報紙名 : 市報うんなん 2025年10月号
緩和ケア認定看護師 深田 知華(ふかだちか)
■ACPとは
「人生会議」や「ACP(Advance Care Planning(アドバンスケアプランニング)):以下、ACP)」という言葉を聞いたことがありますか。
日本医師会では以下のように定義されています。ACPとは、将来の変化に備え、将来の医療およびケアについて、本人を主体に、その家族や近しい人、医療・ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援する取り組みのことです。
大切なことなので、いずれは考えなければいけないと感じた方もいるのではないでしょうか。反対に、元気なうちは考えられないと感じた方もおられると思います。
いきなり「延命治療をする、しない」、「口から食べられなくなったらどうする」というような内容から考えると行き詰まってしまうかもしれません。
まずは、自分や大切な方が生まれてから、今日に至るまでの歴史(思い出や出来事)を振り返ったり、大切にしてきたことなどを思い浮かべてみてはどうでしょう。ACPを考える時に、とても大事なポイントになります。
■大切な人と共有しましょう
もしものときについて話し合ったり、自分の気持ちがある方は、ぜひ大切な人に伝えたり、共有しましょう。
家族、友人、かかりつけ医など、信頼できる方などに伝えたり、書面に書き残しておきましょう。
誰でも、いつでも、命に関わる大きな病気やケガをする可能性があります。命の危機が迫った状態になると、約70%の方が医療やケアなどを自分で決めたり、望みを人に伝えたりできなくなると言われています。
■繰り返し
考えて、話し合って、悩んだりしながら出した気持ちでも、時間の経過や、周りの環境、状況などで変わることもあると思います。
人の気持ちは変わったり、揺らいだりするものです。だからこそ、繰り返し考えたり、話し合いましょう。そして、大切な人に伝えたり、共有したり、書き残した書面に書き加えたりする作業を繰り返すことがACPの大事なポイントです。
■どうやってはじめたらよいのか迷ったら
自分のもしもの時について考えてみたいけど、どうしたらいいか分からないと思われた方もあると思います。
雲南市では、「未来へつなぐノート」というノートが作成されました。こちらは市役所ホームページからダウンロードできます。
医療・ケアに関すること、自分の歴史に関すること、相続に関することなど多面的に考えたり、書き残すことができる内容になっています。
住み慣れた地域で、自分らしく、できるだけ後悔なく生きるためにACPをはじめてみませんか。