くらし エーロさんに聞いてみよう フィンランドのよもやま話

Eerolla on asiaa
フィンランド出身国際交流員による、フィンランドや邑南町の話

■第20回 フィンランドの教育(1)「フィンランドの小中学校」
フィンランドの教育制度は、OECD(経済協力開発機構)による生徒の学習到達度調査で上位であることは、日本だけでなく、世界中で有名です。この記事シリーズで小中学校と高等学校の教育の概要について書きたいと思います。

▽クラス替えなし?外国語の勉強は小学1年から?
フィンランドの子どもたちは7歳になる年に小学校に入ります。学年は8月中旬に始まり、5、6月の節目で終わります。小学校は1~6年、中学校は7~9年です。クラスは途中で変わらない場合が多く、1年生から6年生まで同じクラスメイトで続けることが、大体決まっています。
必須科目は日本とほぼ同じですが、小学1年から外国語が始まります。生徒の9割以上は英語を選びますが、市町村と学校の課程によっては、スペイン語、ドイツ語、ロシア語等も選べます。希望する生徒さんは第二外国語も小学校4年生から選べます。また、第二国語スウェーデン語も6年生から学びます。
年間の通学日は190日です。休みは長い夏休みがあり、秋学期も春学期ももっと短い休みや祝日があります。年間の祝日は日本より少ないですが、長い休みはもっとあります。

▽文房具、給食、定期券が全て無償
教育費は全て税収でまかなわれているので、フィンランドの初等教育では、生徒たちの経済負担は完全に無償です。教科書、ノート、鉛筆等ももらえます。学校の給食も無償になったのは1948年で、世界で初めてのことでした。制服がありませんし、使うバックパックにこだわりません。通学で市町村の公共交通機関を無料で乗ることができる定期券も支給され、これらの施策は、「無償で平等な高品質の教育をすべての人々に」という考えで作られました。
教師は高度な訓練を受けながら、修士号を取得しています。教師は国内の教育課程に従いますが、その実施を自分で工夫できる自由度が高いです。
また、メンタルヘルス対策としてスクールカウンセラーと学校心理士は教室を訪れたり授業を開いたりし、全グループと働くことが最近増えました。必要性に応じて、生徒さんに個人的な相談やカウンセリング等も提供します。

▽グループワークと選択コース
さて、フィンランドの初等教育における学習そのものの特徴は何でしょうか。
よく強調されるのは、双方向の対話、協力、イノベーションが各科目に取り込まれている点が挙げられます。数学を除きどんな科目でもグループワークで学習を行うときがあります。特徴的なのは、中学・高校では、グループワークやほかの一般的な義務教育で、自分の勉強に対して個人の責任が要求されていることです。
また、若い年齢から新しいアイデアを出してみることを奨励されてもいます。
さらに、小学生でも選択的コースを選び、半年間、1週間、1時間でも学んだ後、途中で通っているコースが変わります。工芸、運動、踊り、音楽、デザイン、クリエイティブ・シンキング問題解決等のような学校によって提供されるコースは理系、文系と工芸も含まれています。
自分の可能性を最大限に高めることや夢を実現できる人材こそが、国の最も重要な資産だという国民の精神です。