- 発行日 :
- 自治体名 : 岡山県岡山市
- 広報紙名 : 市民のひろばおかやま 2025年12月号 No.1479
■歯周病と大腸がんの関係について
岡山市内歯科医師会連合会
歯周病とは、歯垢(プラーク)の中の歯周病菌が歯茎(歯周ポケット内)に炎症を起こし、徐々に歯肉や歯槽骨(しそうこつ)など歯の周りの組織を破壊していく細菌感染症です。歯周病は歯を失うリスクがあるだけではなく、糖尿病、肥満、心血管疾患、誤嚥(ごえん)性肺炎、早産・低体重児出産、アルツハイマー型認知症、関節リウマチなどの全身疾患との関連が明らかになっています。最近、歯周病が日本人に最も多いがんの一つ、大腸がんと深い関係があることが報告されています。歯周病がある人は、そうでない人と比べて1.45倍大腸がんの発症リスクが高いという報告があります。大腸がん組織でフゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fn菌)という歯周病菌が多量に見つかっていて、大腸がん患者の腸内からもFn菌を含む多様な口腔細菌が高頻度に検出されています。これらの歯周病菌は唾を飲み込むことや、血流に乗って大腸へと運ばれていき、腸内細菌叢(さいきんそう)のバランスが乱れ、大腸がんの発症リスクが高まると考えられています。
このように、歯周病は、全身の健康、意外にも大腸がんのリスクにも影響を及ぼす怖い病気であることがご理解いただけたかと思います。まず歯周病予防のために、毎日丁寧な歯磨きを心掛けることが大切です。そして、歯科医院で定期的な歯科健診や歯周ポケット内のクリーニングを受けることで健口(けんこう)を保ち、積極的に全身の健康を守っていきましょう。
