- 発行日 :
- 自治体名 : 岡山県奈義町
- 広報紙名 : 広報NAGI 2025年12月号(829号)
■食でつながるインドと日本
食べ物って、国や言葉がちがっても人をつなげてくれるものですよね。
そして、インドと日本の文化をつなぐ代表といえば…やっぱり「カレー」だと思います。
インドでは、カレーは「ひとつの料理」ではなく、いろんな形があります。地域によって味も香りもまったく違うんです。北インドではスパイスとクリームをたっぷり使った濃厚なカレー、南インドではココナッツミルクやタマリンドを使った少し酸味のあるカレー。家庭ごとにレシピがあり、どれもその家の味です。インドではカレー以外にも、さまざまな野菜料理や豆料理、ビリヤニ、ヨーグルトを使った料理などを日常的に食べています。
ちなみに「カレー」という言葉は、もともとイギリス人がインド料理を説明するために使い始めた言葉なんですよ。インドでは「ダル」「サブジ」「マサラ」など、料理ごとに名前があります。
インドは、世界でいちばんベジタリアン(菜食主義)の人が多い国でもあります。およそ4割の人が菜食中心の生活をしています。なので、インドにはたくさんのベジタリアンカレーがあります。
実は、私の家族も完全なベジタリアンで、魚や肉は一切食べません。子どものころから豆や野菜を中心に食べてきました。インドでは豆類(レンズ豆・ヒヨコ豆など)や乳製品(ヨーグルト、チーズのようなパニールなど)からしっかりタンパク質を取っています。スパイスと豆の香りがあれば、それだけでごはんが進みます!
日本に来て、初めて日本の「カレーライス」を食べたとき、びっくりしました。とろっとしていて、少し甘くて、スパイスもやさしい。最初は「インドのカレーと全然ちがう!」と思いましたが、食べているうちに気づきました。どちらのカレーも「人を笑顔にする料理」だということに。そして今では、CoCo壱番屋のカレー(辛さ4)が大好きです!辛さもちょうどよくて、食べると元気になります。
インドのカレーがイギリスを通って日本に伝わったのは明治時代。日本の人たちは自分の好みに合わせてアレンジして、じゃがいもやにんじんを入れて、とても親しみやすい料理にしました。世界を旅して、形を変えて、でも同じ「ぬくもり」を持ち続ける――それがカレーなんです。
奈義町で暮らしている今も、ときどきインドのカレーを作って友だちにふるまいます。スパイスの香りに「わぁ、いい匂い!」と驚く顔を見るのが好きです。みんなで食べながら「インドのカレーは冒険みたい!」「日本のカレーは癒しだね!」なんて笑い合います。
アッキのお母さんのニールやお姉ちゃんのチヌが作ったジャガイモカレーも、みんな「うまい!」って言ってくれてうれしかったです。言葉が通じなくても、「おいしいね」と言いながら食べる時間には心が通じます。カレーはいつも、そんな小さな幸せを運んでくれる気がします。
今日の晩ごはんがカレーでも、カレーライスでも、その一皿の中にはインドと日本の「つながり」の味がきっとあります。
