文化 時悠館

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■重要な新発見が続く帝釈峡遺跡群
本年6月、第35回中四国縄文研究会広島大会が当館で開催され、100人近い研究者が全国から集まり、帝釈峡遺跡群での最新研究が発表されました。その一部を紹介します。
1つ目は、県外研究者の発表(文献(1))で、国史跡「寄倉岩陰(よせくらいわかげ)遺跡」の縄文晩期の土器の小さな穴が、国内最古例となるキビの圧痕(あっこん)だったという新発見です。イネ・アワ・キビなどの大陸系穀物が、九州北部へ伝わり始めた頃、既に帝釈峡でも栽培されていたのです。中学生の職場体験では、クイズ形式で展示し、広報しょうばら8月号でも紹介しています。
2つ目は、昨年、大学の卒業論文で当館の「貝輪(かいわ)」を調べた若い研究者の発表(文献(2))です。
縄文時代の装身具である貝輪は、帝釈峡遺跡群では11遺跡から、未製品を含む49点が出土しています。多くは海産貝類を素材とし、沿岸部との交流が論じられてきました。
今回、寄倉岩陰遺跡から出土した20点とその他加工品2点を分析したところ、貝輪15点、未製品5点、貝加工品2点が確認されました。また、貝輪製作の3工程(「穿孔(せんこう)(穴をあけること)」→「加工」→「仕上げ」)のうち、沿岸部の遺跡で穿孔した後に、帝釈峡遺跡群まで運び、加工・仕上げを行なっていたことも分かってきました。
素材の貝については、従来から知られるサルボオなどに加えて、タマキガイ、ベンケイガイが新たに確認されました。これらは日本海沿岸にも生息する貝です。
さらに、貝輪の1点は、大隅(おおすみ)・トカラ・伊豆諸島のみに生息する南海産のオオツタノハでした。当時の最高級素材であり、中四国地方では岡山市彦崎貝塚(ひこざきかいづか)、笠岡市津雲貝塚(つぐもかいづか)に続く3例目という衝撃の新発見でした。貝をめぐる列島規模の交流にも加わっていたようです。
最前線の研究者たちが挑む相手は「帝釈郷土館」の頃からの展示品であり、これは長年にわたり館運営を支えて下さった皆さんの支援の賜物といえます。

文献(1):中沢道彦・濱田竜彦「レプリカ法による帝釈峡遺跡群出土土器の種実圧痕の調査と派生する問題」『第35回中四国縄文研究会広島大会 中国山地の考古学-帝釈峡遺跡群から山間部縄文社会を考える-』中四国縄文研究会2025年
文献(2):清水友陽「帝釈峡遺跡群の貝輪-帝釈寄倉岩陰遺跡出土資料の紹介-」(同上)

問合せ:時悠館
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