しごと ETAJIMA GoON!Vol.47

“つなぐ・つながる”をテーマに市内で活躍する人やお店をリレー形式で紹介!

■マルキ水産漁師 内藤希誉志(ないとうきよし)さん
▽会社紹介
瀬戸内の穏やかな海で育まれた新鮮な魚を、四十年以上の経験に裏打ちされた技術で、魚本来の旨みを引き出し、食卓に最高の鮮度と味わいを届ける。

■地元の魚を食べてほしい。
倉庫に並ぶ生簀(いけす)には、旬のイシダイやカワハギ、アコウが悠々と泳ぎ、トレードマークの赤いシャツを着た内藤希誉志さんが魚を網ですくって見せてくれた。「最近は広島県が放流している関係でアコウなんかもおるけぇねぇ。昔はおらんかったんよ。」毎日海を見る内藤さんは変わりゆく海の変化も気づく。
能美町鹿川で漁師家系の環境で育った内藤さんは、小さい頃から漁師になろうと思い、高校卒業後に家業を継いで、すでに42年が経った。昔から赤色が好きでラッキーカラーとしていつも赤いシャツを着る。「沖にでるときは黒いシャツなんよ。(笑)。墨がかかるととれんけぇ赤禁止なんよ(笑)。」と笑わせてくれた。
家族経営であるマルキ水産は、定置網漁や刺し網漁だけでなく、魚の運搬も請け負う。季節によって市場に出荷する際は、午後8時過ぎにはトラックで倉庫を出発して、午前1時くらいに帰ってくるため重労働である。家族の協力もあり分担して少しは楽になった。また漁師を志す息子さんたちの話になると「まぁ嬉しいけどね。」と照れくさそうにはにかむ。
温暖化や海の栄養不足などにより魚が減少している現状ではあるが、内藤さんの元には多種多様な魚が集まる。集まった魚を生きたまま市場へ出荷したり、血抜きや神経締めをするなど「鮮度」には人一倍のこだわりがある。「えたじまの魚は牡蠣筏があるおかげで魚がよー肥えとるし、脂がのっとる。これは間違いない!」自信をもって届けるえたじまの魚の「鮮度」にこだわるのは当たり前なのだろう。

広島県が実施する「瀬戸内さかな」でもこだわり漁師として紹介される内藤さん。毎週金曜日には広島市中央卸売市場で内藤さんが獲った魚がせりにかけられる。この取組の甲斐もあり、内藤さんが獲った魚が欲しいと問い合わせも増え、鮮度のいいえたじまの魚が評判を呼ぶ。「漁師の顔がでるけぇ変なことはできんよ(笑)」と笑いながら話すが、生産者の顔が見えるからこそ魚への信頼度も増す。

「江田島市には魚屋さんが少ないじゃろ」と漁師の立場としては寂しい意見を聞いた。マルキ水産では市場への出荷や魚の運搬以外にも、直接魚を販売する。「フラっと来た近所の人にも魚を売るけぇねー。」と新鮮な魚を少しでも多くの人に食べてもらいたい。「あんたのところの魚おいしかったわ!」と言われるとやっぱり嬉しい。これがやりがいにつながる。
「もっと江田島市の人に地元の魚を食べてほしい。地産地消。」品質のいい魚だからこそ自信をもってオススメできる。

魚が獲れないなど海の変化で厳しい状況ではあるが、鮮度のいい魚を届けようという想いはいつの時代も変わらない。漁師ならではの魚への情熱が話していて伝わった。
「赤るく」振舞う内藤さんの元には、目印となって魚も人も集まるのかもしれない。

■会社情報
マルキ水産
住所:江田島市能美町鹿川4675-25