- 発行日 :
- 自治体名 : 山口県下関市
- 広報紙名 : 市報しものせき 令和7年6月号
■下関短期大学 栄養健康学科 フォルツア シモタン
第10回食物アレルギー対応食 料理コンテスト食事部門で最優秀賞に輝いたフォルツアシモタン。
受賞作品には、アレルギーに苦しむ仲間を救いたいという温かい思いが込められていました。
・片山 太斗さん
学生 栄養健康学科2年生。
アレルギーや持病があり、食事がかなり制限されている。
・竹中 玄翔さん
学生 栄養健康学科2年生。
とにかく食べることが大好き。試食と食レポはおまかせあれ。
・大橋 貴則さん
学生 栄養健康学科2年生。
調理と栄養学の魅力に取りつかれ、学び直し真っ最中。
●みんなで一緒に同じメシ食おうぜ
▽なぜ彼だけ別のメニューなのか
特定の食べ物を食べると、体がかゆくなったり、お腹が痛くなったり、ひどいときは息ができなくなることも…。最近、こういった食物アレルギーを持っている人が増えてきました。
片山さんもその一人。卵・乳・小麦の食物アレルギーを持ち、さらに持病も合わさって、食べられる物が限られているそうです。
「急に何も食べられなくなって、入退院を繰り返しました。脂質制限などがあり、揚げ物を食べることができません。代わりに炭水化物などでカロリーを取らないといけなくて、体重もかなり落ちました」と片山さんは話します。
そんな片山さんを高校時代からそばで見てきた竹中さん。
「みんなが食べられる物が食べられないのは、つらいだろうなと思っていました」
同じ思いを抱いていた大橋さんも、「調理実習でも、彼と同じものを作れない、おかしいじゃないか」と。こうして3人で料理コンテストに出ることが決まりました。
▽うまっ! これがアレルギー対応食?
公益財団法人ニッポンハム食の未来財団が主催する「食物アレルギー対応食 料理コンテスト」には応募条件があります。特定原材料と呼ばれる8品目のうち、「卵・乳・小麦」を使用しないこと、そして、特定原材料等28品目のうち、使用しているものを明らかにしていること。これは、参加者たちにとって、陸上競技の選手が足に重りを付けて走るような、大きな制約なのです。
まずは食材選び。せっかくなら、片山さんの好きな物にしようと、鮭に決めました。小麦の代わりに米粉を、乳の代わりに豆乳を、豆乳の風味を消すために黒こしょうを。3人の試行錯誤は続きます。
こうして出来上がった作品を試食した竹中さんは、「言われないとアレルギー対応食だと思わない」と、おいしさと手応えを感じたよう。
指導する塩田博子学科長も、「調理・栄養・アレルギー3つの要素がバランス良く盛り込まれた、良いレシピだと思います。自然と私たちも巻き込まれていって、みんなで試行錯誤しながら、仕上がりました。内心、これはいけるって思ってたんですよ」と笑顔で受賞を振り返ります。
▽一緒に食べて喜ぶ顔が見たかった
片山さんと同じ物を作って、同じ時に、同じ物を食べたい。大橋さんと竹中さんの思いを受け取った片山さん。
「自分のために2人が考えてくれたことがうれしかった。自分と同じような人が、アレルギーを気にせずおいしい物を食べられるように、もっと研究をしたい」と、頼もしく語ってくれました。
試食した時の3人の笑顔が目に浮かぶようです。
・授業中の3人
2年生13人のうち男子は彼らだけ。
少人数ならではで質問が飛び交う。
どこか家庭的で、先生と学生の距離が近いのが印象的。
・いつも一緒
授業の後は、外のベンチで談笑するのがお決まり。
何を話しているかはヒミツ♥
・最優秀賞受賞
3月16日に行われた表彰式の様子。「コクを出すための豆乳とみその使い方がすばらしいスープ」と高評価。