しごと 《特集》あなたの隣人、静かなる選択。下関市消防団(1)

■消防団とは、「自分たちの地域は自分たちで守る」という精神に基づき、地域住民で組織された非常備の消防機関です。
令和6年元日、能登半島で起きたあの地震。地元の消防団員は、自らが被災しながらも、地域住民の命を守るため、すぐに動き始めました。避難の呼び掛け、消火・救助活動、避難所の支援――報道で見たあの姿は、まさに「地域のそばにある力」そのものでした。
その懸命な働きは、私たちに地域に根差す消防団の重要性を再認識させてくれました。

■消防団、その正体は?
火事や地震など「もしものとき」に出動する消防団員。でもその多くは、特別な人ではありません。普段、会社で働いたり、家で家事や育児をしたり――それは遠い誰かではなく、下関市で普通に暮らす私たちの隣人なのです。彼らはまちの安全安心を守るため、自分のスキマ時間を使って訓練に励み、備え、動いてくれています。消防団がいることで「何かあったとき、すぐに動ける」共助の仕組みが下関に根付いています。

■下関の地域防災力
令和7年8月、市内で活動する消防団員は1,607人。しかし、団員の高齢化や、「自分の時間を大切にしたい」「仕事が忙しい」といった意識の変化によって、団員数は減少傾向にあります。
「公的機関がすべて対応すればいいのでは?」そう考える方もいるかもしれません。もちろん行政として全力を尽くします。けれども、突然訪れる大災害や、一分一秒を争う火災などが発生したとき、公助だけでは行き届かない助けも、守りきれない命もある。現実問題、それが私たちの置かれている状況です。
今、必要なのは自ら地域を守れる消防団です。「誰かの役に立ちたい」その気持ちがまちの安全安心につながるのです。今月の特集では、消防団への一歩を踏み出した私たちの隣人に向き合います。彼らが語るその声に、少し耳を傾けてみませんか。

■CHAPTER 1 消防団員活動紹介 profile
●消防団員と消防職員の違いは?
消防団員は、他に本業を持ちながら、非常勤特別職の地方公務員として、火災や大規模災害発生時に自宅や職場から現場に駆け付け、消火活動などを行います。
一方、消防職員は常勤の地方公務員として、消防本部や消防署に勤務しています。

▽出動報酬
災害:1日8,000円。
・ただし、職務に従事した時間が1時間を超え3時間以下は5,000円、1時間以下は3,000円。
警戒訓練等:1日3,500円。
・ただし、職務に従事した時間が1時間を超え2時間以下は2,000円、1時間以下は1,000円。

▽年額報酬
団長 82,500円
副団長 69,000円
分団長 50,500円
副分団長 45,500円
部長・班長 37,000円
団員 36,500円

▽退職報償金(抜粋)
勤務年数:5〜10年
・団長…239,000円
・分団長…219,000円
・団員…200,000円
勤務年数:10〜15年
・団長…344,000円
・分団長…318,000円
・団員…264,000円
勤務年数:15〜20年
・団長…459,000円
・分団長…413,000円
・団員…334,000円
勤務年数:20〜25年
・団長…594,000円
・分団長…513,000円
・団員…409,000円
勤務年数:25〜30年
・団長…779,000円
・分団長…659,000
・団員…519,000円
勤務年数:30〜35年
・団長…979,000円
・分団長…849,000円
・団員…689,000円
勤務年数:35年〜
・団長…1,079,000円
・分団長…949,000円
・団員…789,000円

▽出動回数と出動報酬(令和6年度)
出動回数:年間平均 約8.4回
出動報酬:年間平均 約1.9万円

▽その他
公務災害補償や処遇などの支援体制も整っています。

●災害時
▽捜索・避難誘導
災害発生時には、地域をよく知る立場から、行方不明者の捜索や避難者の誘導を実施。

▽消火活動
火災発生時には、自宅や職場から現場に駆けつけます。消火活動、後方支援など、その場に応じて活動します。

▽水防活動
台風などの風水害に備え、河川の水位の警戒、土のう作りを実施。水害発生時には、側溝等の排水や積み土のうによる浸水防止など、迅速に対応します。

●平常時
▽防火啓発活動
年末には歳末特別警戒として消防車両で町内を巡回します。

▽救命講習会
救急車が到着するまでの応急手当やAEDの使い方を学び、万が一に備えます。

▽消火・防災訓練
火災現場での活動を想定した訓練(放水訓練等)を実施。また各地域の防災訓練等に参加します。

問合先:消防局警防課
【電話】233-9112