- 発行日 :
- 自治体名 : 山口県岩国市
- 広報紙名 : 広報いわくに 令和7年8月15日号
■献納機「岩国号」・「岩国」・「岩国黒島号」
今年は終戦から80年を迎えます。時代を経るごとに戦争を体験された人も少なくなり、戦争が遠い過去の歴史となりつつあります。そうした中、改めて戦争について知る重要性は増してきていると言えるでしょう。
今回は、戦時下の市民と戦争の関わりとして、献納機について紹介します。献納機とは、戦時下に個人や団体が軍に資金を寄付して作られた軍用機のことで、昭和7(1932)年に献納された陸軍の軍用機「あいこく1号」が始まりとされています。その後、昭和12(1937)年に日中戦争が勃発すると、新聞社が軍用機献納運動を提唱したことから、全国各地で多くの献納機が作られました。海軍への献納機は報国号、陸軍への献納機は愛国号と呼ばれ、それぞれ通し番号とともに、献納者にちなむ機体名が付けられました。
岩国でも献納機を作ることへの機運が高まり、昭和18(1943)年4月に報国第1222「岩国号」が岩国市民から海軍へ、同年9月には愛国第2190「岩国」が陸軍へ献納されています。また岩国市黒島の町内会から報国第3393「岩国黒島号」が献納されたほか、岩国の企業による献納も行われました。
当時、戦闘機1機を献納するのに必要な金額が7万円とされ、現在の金額にすると約4400万円にもなります。戦時下における食糧難・物資不足の中で行われたことを踏まえると、大変な労力であったことが分かります。それにも関わらず、全国各地で多くの献納機が作られた背景には、機体の命名式が新聞で大きく報道されるなど愛国心の象徴として宣伝されたことがあり、軍用機の献納といった戦争への協力が美徳とされる社会的な風潮が色濃く浸透していたことがうかがえます。
終戦から80年の節目に、改めて戦争と平和について考えてみてはいかがでしょうか。
▽岩国徴古館(いわくにちょうこかん)
昭和20年に旧岩国藩主吉川家によって建てられ、その後岩国市に移管された市立の博物館
住所:横山二丁目7-19
【電話】41-0452
休館日:月曜(祝日の場合はその翌日)